1.4.P2
1.4.問題2
\( A \in M_n \) が歪対称行列であるとする。このとき、
p_A(t) = (-1)^n p_A(-t)
が成り立つことを示せ。
さらに、もし \(\lambda\) が \(A\) の固有値で、その重複度が \(k\) であるなら、\(-\lambda\) もまた固有値であり、重複度も \(k\) であることを導け。
\(n\) が奇数のとき、なぜ \(A\) が必ず特異行列(非正則行列)になるかを説明せよ。
また、なぜ \(A\) のすべての奇数サイズの主小行列式が 0 になるかを説明せよ。
さらに、歪対称行列が「ランク主行列(rank principal)」(定理 0.7.6)であるという事実を用いて、\(\mathrm{rank}\,A\) が必ず偶数であることを示せ。
ヒント
歪対称行列 \(A\) は \(A^{\top} = -A\) を満たす。
この性質を行列式と転置の関係に適用し、特性多項式 \(p_A(t) = \det(tI - A)\) を \(t\) と \(-t\) で比較することで主張を導く。
また、固有値の重複度やランクについては、固有値の対称性と主小行列式の性質を用いる。
解答例
まず \(A\) を歪対称行列とするので \(A^{\top} = -A\) が成り立つ。特性多項式を \(p_A(t) = \det(tI - A)\) とおく。このとき \(\det(tI - A) = \det((tI - A)^{\top})\) が成り立つ。
転置をとると \((tI - A)^{\top} = tI - A^{\top} = tI + A\) であるから、 \(p_A(t) = \det(tI + A)\) を得る。
一方で \(\det(tI + A) = \det(-(-tI - A)) = (-1)^n \det(-tI - A)\) であり、これは \((-1)^n p_A(-t)\) に等しい。したがって \(p_A(t) = (-1)^n p_A(-t)\) が成り立つ。
次に、\(\lambda\) を \(A\) の固有値で、その代数的重複度が \(k\) であるとする。すると \((t-\lambda)^k\) は \(p_A(t)\) の因子である。上の関係式 \(p_A(t) = (-1)^n p_A(-t)\) より、\((t+\lambda)^k\) も同じ重複度で因子として現れる。よって \(-\lambda\) も固有値であり、その重複度は \(\lambda\) と同じく \(k\) である。
特に \(n\) が奇数のときは \(p_A(0) = (-1)^n p_A(0) = -p_A(0)\) が成り立つため、\(p_A(0)=0\) となる。したがって \(0\) は必ず固有値であり、\(A\) は特異行列である。
さらに、任意の奇数サイズの主小行列式も同様に歪対称行列の行列式として現れる。奇数次の歪対称行列の行列式は必ず 0 であるから、\(A\) のすべての奇数サイズの主小行列式は 0 になる。
最後に、歪対称行列はランク主行列である(定理 0.7.6)。
したがって \(\mathrm{rank}\,A\) は、非零の主小行列式の最大サイズに等しい。
しかし奇数サイズの主小行列式はすべて 0 であるから、非零となり得る最大サイズは偶数である。よって \(\mathrm{rank}\,A\) は必ず偶数である。
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