1.4.P1
1.4.問題1
ゼロでないベクトル \( x, y \in \mathbb{C}^n \) を与え、\( A = x y^* \)、および \( \lambda = y^* x \) とする。
(a) \(\lambda\) が \( A \) の固有値であることを示せ。
(b) \( x \) が \(\lambda\) に対応する右固有ベクトルであり、\( y \) が \(\lambda\) に対応する左固有ベクトルであることを示せ。
(c) \(\lambda \neq 0\) であれば、\(\lambda\) が \( A \) の唯一の非零固有値であること(代数的重複度 = 1)を示せ。
また、\( y \) に直交する任意のベクトルが \( A \) の零空間に含まれる理由を説明せよ。固有値 \(0\) の幾何的重複度はいくつか。
さらに、\( A \) が対角化可能であることと \( y^* x \neq 0 \) であることが同値である理由を説明せよ。
ヒント
行列 \(A = x y^*\) はランク1行列であり、任意のベクトル \(v\) に対して \(Av = x(y^*v)\) と表される。この形を用いることで、固有値問題 \(Av=\lambda v\) を直接計算できる。また、像と零空間の次元から固有値の個数や重複度を調べることができる。
解答例
(a) \(A = x y^*\) とし、\(\lambda = y^* x\) とおく。このとき \(Ax = x(y^*x) = \lambda x\) が成り立つ。よって \(\lambda\) は \(A\) の固有値である。
(b) 上式より \(Ax = \lambda x\) であるから、\(x\) は固有値 \(\lambda\) に対応する右固有ベクトルである。
一方、 \(y^*A = y^*(x y^*) = (y^*x) y^* = \lambda y^*\) が成り立つので、\(y\) は \(\lambda\) に対応する左固有ベクトルである。
(c) \(\lambda \neq 0\) と仮定する。任意の \(v \in \mathbb{C}^n\) に対し \(Av = x(y^*v)\) であるから、\(A\) の像は \(\mathrm{span}\{x\}\) に含まれる。
したがって \(\mathrm{rank}(A)=1\) であり、非零固有値は高々1個しか存在しない。
(a) より \(\lambda\) は非零固有値であるから、\(\lambda\) は \(A\) の唯一の非零固有値であり、その代数的重複度は1である。
さらに、\(y\) に直交する任意のベクトル \(v\) は \(y^*v=0\) を満たす。このとき \(Av = x(y^*v)=0\) となるため、そのような \(v\) はすべて \(A\) の零空間に含まれる。
したがって零固有値に対応する固有空間は \(\{v\in\mathbb{C}^n : y^*v=0\}\) であり、その次元は \(n-1\) である。
よって固有値 \(0\) の幾何的重複度は \(n-1\) である。
最後に、\(A\) が対角化可能であるためには、固有値 \(\lambda\) と \(0\) に対する固有空間の次元の和が \(n\) になる必要がある。
上で見たように、\(\lambda \neq 0\) のときは \(\lambda\) の幾何的重複度は1、\(0\) の幾何的重複度は \(n-1\) であり、和は \(n\) になる。逆に \(\lambda = y^*x = 0\) のときは \(A\) のすべての固有値が \(0\) となり、\(\mathrm{rank}(A)=1\) から零固有値の幾何的重複度は \(n-1\) で、対角化は不可能である。
したがって、\(A\) が対角化可能であることと \(y^*x \neq 0\) であることは同値である。
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