[行列解析1.4.1]観察

1.4.1

観察 1.4.1

\( A \in M_n \) とする。

(a) \( A \) と \( A^T \) の固有値は同じである。

(b) \( A^* \) の固有値は \( A \) の固有値の複素共役である。

証明.

\det(tI - A^T) = \det\big((tI - A)^T\big) = \det(tI - A)

したがって、\( p_{A^T}(t) = p_A(t) \) である。

よって、\( p_{A^T}(\lambda) = 0 \iff p_A(\lambda) = 0 \)。

\det(\overline{t}I - A^*) = \det\big((tI - A)^*\big) = \overline{\det(tI - A)}

したがって、\( p_{A^*}(\overline{t}) = \overline{p_A(t)} \) であり、\( p_{A^*}(\overline{\lambda}) = 0 \iff p_A(\lambda) = 0 \)。

演習.

\( x, y \in \mathbb{C}^n \) が固有値 \( \lambda \) に対応する \( A \in M_n \) の固有ベクトルであるとする。このとき、\( x \) と \( y \) の任意の非ゼロ線形結合も \( \lambda \) に対応する固有ベクトルであることを示せ。

結論として、特定の \( \lambda \in \sigma(A) \) に対応するすべての固有ベクトルの集合は、零ベクトルを含めて \( \mathbb{C}^n \) の部分空間となる。

演習.

前の演習で説明された部分空間は \( A - \lambda I \) の零空間、すなわち同次線形方程式

(A - \lambda I)x = 0

の解集合である。この部分空間の次元が \( n - \operatorname{rank}(A - \lambda I) \) である理由を説明せよ。


行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

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