[行列解析1.3.P32]複素ベクトルと実部虚部の一次独立性

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.3.P32

1.3.問題32

\(x \in \mathbb{C}^n\) を与えられた非零ベクトルとし、\(x = u + i v\) と書く。ただし \(u, v \in \mathbb{R}^n\) とする。

このとき、ベクトル \(x, \bar{x} \in \mathbb{C}^n\) が一次独立であるのは、実ベクトル \(u, v \in \mathbb{R}^n\) が一次独立である場合に限ることを示せ。

ヒント

\(x=u+iv\) および \(\bar{x}=u-iv\) を用いて、一次従属の定義 \( \alpha x+\beta \bar{x}=0 \) を考える。

係数を実部と虚部に分けて整理すると、実ベクトル \(u,v\) の一次独立性との関係が明らかになる。

解答例

まず、\(x,\bar{x}\) が一次従属であると仮定する。すると、ある複素数 \(\alpha,\beta\) が存在して \( \alpha x+\beta \bar{x}=0 \) が成り立つ。ここで \(x=u+iv,\ \bar{x}=u-iv\) を代入すると、

(\alpha+\beta)u + i(\alpha-\beta)v = 0

となる。左辺の実部と虚部はいずれも零ベクトルでなければならないから、 \( (\alpha+\beta)u=0 \) および \( (\alpha-\beta)v=0 \) が成り立つ。もし \(u,v\) が一次独立であれば、\(\alpha+\beta=0\) かつ \(\alpha-\beta=0\) が従い、\(\alpha=\beta=0\) となる。したがって、非自明な関係式は存在せず、\(x,\bar{x}\) は一次独立である。

逆に、\(u,v\) が一次従属であると仮定する。すると、ある実数 \(s,t\)(同時に零でない)が存在して \( su+tv=0 \) が成り立つ。このとき複素数 \(\alpha=s-it,\ \beta=s+it\) を取ると、

\alpha x+\beta \bar{x}
= (s-it)(u+iv)+(s+it)(u-iv)
=2(su+tv)=0

となり、\(\alpha,\beta\) は同時に零ではないから、\(x,\bar{x}\) は一次従属である。

以上より、\(x,\bar{x} \in \mathbb{C}^n\) が一次独立であることと、\(u,v \in \mathbb{R}^n\) が一次独立であることは同値である。


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