[行列解析1.3.P27]上三角ブロック行列の固有値構造

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.3.P27

1.3.問題27

1.3.P26 の続きの問題)

\(A = [A_{kl}] \in M_{mn}\) を与えられた \(m \times m\) ブロック行列とし、各ブロック \(A_{kl} = [a^{(kl)}_{ij}] \in M_n\) が上三角行列であると仮定する。

このとき、\(A\) の固有値は

\tilde{A}_{11} \oplus \cdots \oplus \tilde{A}_{nn}

の固有値と一致する。

ここで、

\tilde{A}_{pp} = [a^{(ij)}_{pp}], \quad p = 1, \dots, n

である。

したがって、\(A\) の固有値は各ブロック \(A_{ij}\) の主対角成分のみに依存する。特に、

\det A = (\det \tilde{A}_{11}) \cdots (\det \tilde{A}_{nn})

が成り立つ。

さらに、もし各ブロック \(A_{ij}\) の対角成分がすべて等しく、すなわちスカラー \(\alpha_{kl}\) が存在して、

a^{(kl)}_{ii} = \alpha_{kl}, \quad i=1,\dots,n, \; k,l=1,\dots,m

となるならば、各 \(\tilde{A}_{pp}\) は行列 \([\alpha_{kl}]\) と一致する。

この場合、\(A\) の固有値は \([\alpha_{kl}]\) の固有値がそれぞれ \(n\) 回ずつ現れる。また、\(\det A = (\det [\alpha_{kl}])^n\) が成り立つ。

ヒント

前問で定義した置換行列 \(P\) による相似変換を用いると、各ブロックが上三角である行列は、ブロック対角行列に置換相似であることが分かる。

固有値は相似変換で不変であるため、対角ブロックの固有値に着目すればよい。

解答例

仮定より、\(A=[A_{kl}]\in M_{mn}\) は \(m\times m\) ブロック行列であり、各ブロック \(A_{kl}=[a^{(kl)}_{ij}]\in M_n\) は上三角行列である。

前問で定義した置換行列 \(P\) を用いて \(\tilde{A}=PAP^{\top}\) とおくと、\(\tilde{A}\) は \(n\times n\) ブロック行列となり、その \(p\) 番目の対角ブロックは

\tilde{A}_{pp}=[a^{(ij)}_{pp}], \quad p=1,\dots,n

で与えられる。また、各 \(A_{kl}\) が上三角行列であることから、\(\tilde{A}\) はブロック上三角行列となり、さらにブロック対角行列に一致する。

したがって、相似変換による固有値不変性より、\(A\) の固有値は

\tilde{A}_{11}\oplus\cdots\oplus\tilde{A}_{nn}

の固有値と一致する。特に、\(A\) の固有値は各ブロック \(A_{ij}\) の主対角成分のみに依存する。

行列式についても同様に、ブロック対角行列の行列式は対角ブロックの行列式の積であるから、

\det A=(\det \tilde{A}_{11})\cdots(\det \tilde{A}_{nn})

が成り立つ。

さらに、各ブロック \(A_{kl}\) の対角成分がすべて等しく、あるスカラー \(\alpha_{kl}\) により

a^{(kl)}_{ii}=\alpha_{kl}, \quad i=1,\dots,n

と書けると仮定する。このとき、すべての \(p=1,\dots,n\) に対して

\tilde{A}_{pp}=[\alpha_{kl}]

が成り立つ。したがって、\(A\) の固有値は行列 \([\alpha_{kl}]\) の固有値がそれぞれ \(n\) 回ずつ現れる。また、この場合の行列式は

\det A=(\det[\alpha_{kl}])^n

となる。


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました