1.3.問題26
1.3.P26
\(e_1, \dots, e_n\) および \(\varepsilon_1, \dots, \varepsilon_m\) を、それぞれ \(\mathbb{C}^n\) および \(\mathbb{C}^m\) の標準直交基底とする。各ブロック \(P_{ij} \in M_{m,n}\) を \(P_{ij} = \varepsilon_j e_i^T\) で与える \(n \times m\) ブロック行列
P = [P_{ij}] \in M_{mn}
(a) \(P\) が置換行列であることを示せ。
(b) 任意の \(A \in M_{mn}\) に対し、\(P\) による相似変換を考える:
\tilde{A} = P A P^T
このとき、\(\tilde{A}\) の成分は \(A\) の成分の並べ替えになっている。\(A\) および \(\tilde{A}\) を適切に分割することで、この並べ替えを簡潔に記述できる。
\(A = [A_{ij}] \in M_{mn}\) を \(m \times m\) ブロック行列とみなし、各ブロック \(A_{ij} \in M_n\) を
A_{ij} = [a^{(ij)}_{pq}]
と表す。また、\(\tilde{A} = [\tilde{A}_{pq}]\) を \(n \times n\) ブロック行列とみなし、各ブロック \(\tilde{A}_{pq} \in M_m\) とする。このとき、全ての \(i, j = 1, \dots, m\) および \(p, q = 1, \dots, n\) に対して、\(\tilde{A}_{pq}\) の \(i,j\) 成分は \(A_{ij}\) の \(p,q\) 成分に等しい。すなわち、
\tilde{A}_{pq} = [a^{(ij)}_{pq}]
である。したがって、\(A\) と \(\tilde{A}\) は置換相似であり、同じ固有値・行列式などを持つ。
(c) \(A\) の成分の特定のパターンは、\(\tilde{A}\) の成分に対応する特定のパターンを生み(逆も成り立つ)、例えば次が成り立つ:
(i) 全てのブロック \(A_{ij}\) が上三角行列である ⇔ \(\tilde{A}\) がブロック上三角行列である。
(ii) 全てのブロック \(A_{ij}\) が上ヘッセンベルグ行列である ⇔ \(\tilde{A}\) がブロック上ヘッセンベルグ行列である。
(iii) 全てのブロック \(A_{ij}\) が対角行列である ⇔ \(\tilde{A}\) がブロック対角行列である。
(iv) \(A\) がブロック上三角行列で、かつ全てのブロック \(A_{ij}\) が上三角行列である ⇔ \(\tilde{A}\) がブロック対角行列で、かつその主対角ブロックが全て上三角行列である。
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