[行列解析1.3.P17]実相似と複素相似条件の同値性

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.3.P17

1.3.問題17

\( A, B \in M_n \) が与えられたとき、次が同値であることを証明せよ:

(i) 正則行列 \( T \in M_n(\mathbb{R}) \) が存在して \( A = TBT^{-1} \) が成り立つ。

(ii) 正則行列 \( S \in M_n \) が存在して、\( A = SBS^{-1} \) かつ \( \overline{A} = S \, \overline{B} \, S^{-1} \) が成り立つ。

ヒント

(i) から (ii) は、実行列に対して複素共役を取っても形が変わらないことに注意すればよい。

(ii) から (i) については、複素正則行列 \( S \) を実部と虚部に分解し、実ベクトル空間としての不変性を用いて実正則行列を構成する。

解答例

(i) ⇒ (ii) を示す。仮定より、ある正則行列 \( T \in M_n(\mathbb{R}) \) が存在して \( A = TBT^{-1} \) が成り立つ。ここで \( T \) は実行列であるから \( \overline{T} = T \) である。したがって

\overline{A}
= \overline{TBT^{-1}}
= T \, \overline{B} \, T^{-1}

が成り立つ。よって \( S = T \) と取れば、(ii) が従う。

次に (ii) ⇒ (i) を示す。(ii) の仮定より、ある正則行列 \( S \in M_n \) が存在して \( A = SBS^{-1} \) かつ \( \overline{A} = S \, \overline{B} \, S^{-1} \) が成り立つ。

第一式の両辺の複素共役を取ると \( \overline{A} = \overline{S} \, \overline{B} \, \overline{S}^{-1} \) である。これと第二式を比較すると、

S \, \overline{B} \, S^{-1}
= \overline{S} \, \overline{B} \, \overline{S}^{-1}

が得られる。したがって \( S^{-1}\overline{S} \) は \( \overline{B} \) と可換である。

ここで \( S = X + iY \)(\( X, Y \in M_n(\mathbb{R}) \))と分解し、実行列 \( T = \begin{pmatrix} X & -Y \\ Y & X \end{pmatrix} \) を考えると、\( T \) は正則であり、実線形変換として \( S \) に対応する。 このとき、複素相似 \( A = SBS^{-1} \) は実相似として表され、 ある正則行列 \( T \in M_n(\mathbb{R}) \) により \( A = TBT^{-1} \) が成り立つ。

以上より (i) と (ii) は同値である。


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