[行列解析2.7.P3]CS分解による特異値1の存在証明

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

(2.7.P3)

2.7.問題3

\( A \) が \( n \times n \) ユニタリ行列の \( k \times k \) 部分行列であり、もし \( 2k \gt n \) ならば、\( A \) の特異値のうちのいくつかが 1 であることをCS分解を用いて示せ。

ヒント

ユニタリ行列を適切に行・列の置換によってブロック分割し、CS分解を適用する。CS分解ではブロックの特異値が \( \cos\theta_i \) と \( \sin\theta_i \) の形で表される。

条件 \( 2k \gt n \) から、角度の一部が 0 になることを示せばよい。

角度が 0 であれば対応する特異値は \( 1 \) となる。

解答例

\( U \) を \( n \times n \) ユニタリ行列とし、その左上 \( k \times k \) ブロックを \( A \) とする。行および列を並べ替えることで、\( U \) を次のように分割できる。

U =
\begin{pmatrix}
A & B \\
C & D
\end{pmatrix},
\quad
A \in \mathbb{C}^{k \times k}.

\( U \) はユニタリであるから \( U^{*}U = I_n \) が成り立つ。このようなブロック分割に対してCS分解を適用すると、適当なユニタリ行列 \( V_1, V_2, W_1, W_2 \) が存在して

U =
\begin{pmatrix}
V_1 & 0 \\
0 & V_2
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
C & -S & 0 \\
S & C & 0 \\
0 & 0 & I_{2k-n}
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
W_1 & 0 \\
0 & W_2
\end{pmatrix}^{*}

と表される。ただし \( C = \mathrm{diag}(\cos\theta_1,\dots,\cos\theta_{n-k}) \), \( S = \mathrm{diag}(\sin\theta_1,\dots,\sin\theta_{n-k}) \) であり、\( 0 \le \theta_i \le \frac{\pi}{2} \) である。

ここで中央ブロックの右下に \( I_{2k-n} \) が現れることに注意する。条件 \( 2k \gt n \) より \( 2k-n \gt 0 \) であるから、この単位行列の次数は正である。

この分解において、\( A \) は左上ブロックに対応し、特異値は中央行列の対応部分の特異値と一致する。中央行列の右下に現れる \( I_{2k-n} \) は、そのまま特異値 \( 1 \) を \( 2k-n \) 個与える。

したがって、\( A \) の特異値のうち少なくとも \( 2k-n \) 個は \( 1 \) である。特に \( 2k \gt n \) のとき、\( A \) の特異値の中に \( 1 \) が存在することが示された。


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