[行列解析2.7.P1]ユニタリ行列の部分行列と縮小写像

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.7.P1

2.7.問題1

与えられた \( A \in M_{n,m} \) が縮小写像 (contraction) であるとは、その最大特異値が 1 以下である場合をいう。

CS分解を用いて、任意のユニタリ行列の部分行列は縮小写像であることを示せ。ただし部分行列は主部分行列である必要も、正方である必要もない。

ヒント

ユニタリ行列 \(U\) を適当な行・列の分割に従ってブロック表示する。

CS分解により、あるユニタリ行列で挟むと、 左上ブロックは対角行列 \(\mathrm{diag}(\cos \theta_1,\ldots,\cos \theta_r)\) の形にできる。

\(|\cos \theta_i| \le 1\) であることから、そのブロックの特異値がすべて 1 以下であることを示せばよい。

解答例

\(U \in M_n\) をユニタリ行列とし、 その行と列をそれぞれ分割して

U =
\begin{pmatrix}
A & B \\
C & D
\end{pmatrix}

と書く。 ここで \(A\) は任意の部分行列(主部分行列である必要も正方である必要もない)とする。

CS分解によれば、あるユニタリ行列 \(W_1, W_2\) が存在して、

W_1^* A W_2
=
\mathrm{diag}(\cos \theta_1,\ldots,\cos \theta_r, 0,\ldots,0)

と表される。 ここで \(0 \le \theta_i \le \frac{\pi}{2}\) である。

したがって \(A\) の特異値は \(|\cos \theta_i|\) および 0 である。

\(|\cos \theta_i| \le 1\) であるから、 \(A\) のすべての特異値は 1 以下である。

行列の作用素ノルムは最大特異値に等しいので、

\|A\|_2 \le 1

が成り立つ。

よって任意のユニタリ行列の部分行列は縮小写像、すなわち作用素ノルムが 1 以下の線形写像である。


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