[行列解析2.6.p8]特異値分解による階数不等式の証明

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P8

2.6.問題8

\(A \in M_{m,k}\)、\(B \in M_{k,n}\) を与える。

特異値分解を用いて、\(\mathrm{rank}(AB) \le \min\{\mathrm{rank}(A), \mathrm{rank}(B)\}\) であることを示せ。

ヒント

行列の階数は、特異値分解において 0 でない特異値の個数に等しい。

\( A = U_1 \Sigma_1 V_1^* \)、\( B = U_2 \Sigma_2 V_2^* \) と表し、積 \( AB \) を書き直すと、中央に現れる行列の階数を評価すればよい。

解答例

まず、\( A \in M_{m,k} \)、\( B \in M_{k,n} \) とする。 それぞれの特異値分解をとる。

A = U_1 \Sigma_1 V_1^*, \qquad
B = U_2 \Sigma_2 V_2^*

ここで \( U_1, V_1, U_2, V_2 \) はユニタリ行列であり、\( \Sigma_1, \Sigma_2 \) はそれぞれ非負実数を対角成分にもつ行列である。

このとき積 \( AB \) は

AB
= U_1 \Sigma_1 V_1^* U_2 \Sigma_2 V_2^*
= U_1 \Sigma_1 (V_1^* U_2) \Sigma_2 V_2^*

ここで \( V_1^* U_2 \) はユニタリ行列である。

ユニタリ行列による左右からの乗法は階数を変えないので、

\mathrm{rank}(AB)
= \mathrm{rank}\bigl(\Sigma_1 (V_1^* U_2) \Sigma_2\bigr)

と書ける。

一般に、行列の積の階数は各因子の階数以下であるから、

\mathrm{rank}\bigl(\Sigma_1 (V_1^* U_2) \Sigma_2\bigr)
\le \min\{\mathrm{rank}(\Sigma_1), \mathrm{rank}(\Sigma_2)\}

特異値分解において、階数は 0 でない特異値の個数であるから、

\mathrm{rank}(\Sigma_1) = \mathrm{rank}(A), \qquad
\mathrm{rank}(\Sigma_2) = \mathrm{rank}(B)

したがって、

\mathrm{rank}(AB)
\le \min\{\mathrm{rank}(A), \mathrm{rank}(B)\}

が成り立つ。


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