[行列解析2.6.p4]同時ユニタリ合同で実対角化される条件

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P4

2.6.問題4

\(A, B \in M_{n,m}\) が同時に実対角または非負実対角行列にユニタリ合同できるのはいつか?

(a) \(AB^*\) および \(B^*A\) が両方エルミートであることと、ユニタリ行列 \(X \in M_n, Y \in M_m\) が存在して \(A = X \Sigma Y^*, B = X \Delta Y^*\)、\(\Sigma, \Delta \in M_{n,m}(\mathbb{R})\) が対角で、\(\Sigma\) が形式 (2.6.3.1,2) に従うことは同値であることを示せ。

(2.6.3.1)
\Sigma_q =
\begin{bmatrix}
\sigma_1 & 0 & \cdots & 0 \\
0 & \sigma_2 & \cdots & 0 \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
0 & 0 & \cdots & \sigma_q
\end{bmatrix}

(2.6.3.2)
\Sigma = \Sigma_q \quad (m=n), \\
\qquad
\Sigma = \begin{bmatrix} \Sigma_q & 0 \end{bmatrix} \in M_{n,m} \quad (m \gt n), \\
\qquad
\Sigma = \begin{bmatrix} \Sigma_q \\ 0 \end{bmatrix} \in M_{n,m} \quad (n \gt m)

(b) \(A, B\) が実行列の場合、\(AB^T\) および \(B^T A\) が両方対称であることと、実直交行列 \(X \in M_n(\mathbb{R}), Y \in M_m(\mathbb{R})\) が存在して \(A = X \Sigma Y^T, B = X \Delta Y^T\)、\(\Sigma, \Delta \in M_{n,m}(\mathbb{R})\) が対角で、\(\Sigma\) が形式 (2.6.3.1,2) に従うことは同値であることを示せ。

(c) (a)(b) の場合において、\(\Delta\) の対角成分を非負にできるのは、\(AB^*\) および \(B^*A\) のエルミート行列の固有値がすべて非負である場合に限ることを示せ。

ヒント

まず \(AB^*\) および \(B^*A\) がエルミートであることは、\(AB^* = (AB^*)^* = BA^*\) を意味する。この関係は \(A\) と \(B\) が同じ左右ユニタリ変換で特異値分解型に同時対角化できることと深く関係する。

(a) ではまず \(A\) を特異値分解し、その基底で \(B\) の形を調べる。エルミート条件から \(B\) も同じ特異ベクトル系で対角形になることを示すのが要点である。

(b) は (a) の実数版であり、随伴 \(B^*\) の代わりに転置 \(B^T\) を用いる。

(c) では \(\Delta\) の対角成分と \(AB^*\) の固有値の関係を調べる。対角化された形を代入すると、固有値は \(\Sigma\) と \(\Delta\) の対角成分の積になることに注意する。

解答例

(a) まず \(AB^*\) および \(B^*A\) がエルミートであると仮定する。このとき \(AB^* = (AB^*)^* = BA^*\) が成り立つ。

\(A\) の特異値分解をとると、ユニタリ行列 \(X \in M_n, Y \in M_m\) が存在して \(A = X \Sigma Y^*\) と書ける。ただし \(\Sigma\) は (2.6.3.1,2) の形の非負実対角行列である。

\Sigma_q =
\begin{bmatrix}
\sigma_1 & 0 & \cdots & 0 \\
0 & \sigma_2 & \cdots & 0 \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
0 & 0 & \cdots & \sigma_q
\end{bmatrix}

この基底に変換して \(\widetilde B = X^* B Y\) とおくと、

AB^* = X \Sigma Y^* Y \widetilde B^* X^*
= X \Sigma \widetilde B^* X^*

となる。\(AB^*\) がエルミートであることから

\Sigma \widetilde B^*
= (\Sigma \widetilde B^*)^*
= \widetilde B \Sigma

が成り立つ。ここで \(\Sigma\) は対角行列であるから、上式は \(\Sigma\) と \(\widetilde B\) が可換であることを意味する。よって \(\widetilde B\) も対角行列となる。

したがって \(B = X \Delta Y^*\) と書け、\(\Delta\) は実対角行列である。逆にこの形に書ければ、

AB^* = X \Sigma \Delta X^*, 
\qquad
B^*A = Y \Delta \Sigma Y^*

はいずれも対角実行列のユニタリ相似であるからエルミートである。よって同値である。

(b) 実行列の場合も同様であり、随伴の代わりに転置を用いる。すなわち \(A = X \Sigma Y^T, B = X \Delta Y^T\) と書けることと、 \(AB^T\) および \(B^T A\) が対称であることは同値である。

(c) (a) の形において

AB^* = X \Sigma \Delta X^*

であるから、その固有値は \(\Sigma\Delta\) の対角成分 \(\sigma_i \delta_i\) である。よってすべての固有値が非負であることは \(\sigma_i \delta_i \ge 0\) に同値である。

\(\sigma_i \ge 0\) であるから、これは \(\delta_i \ge 0\) と同値である。したがって \(\Delta\) の対角成分を非負にできるのは、 \(AB^*\) および \(B^*A\) の固有値がすべて非負である場合に限る。


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