[行列解析2.6.p29]正規固有値の絶対値は特異値である

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P29

2.6.問題29

\(x \in \mathbb{C}^n\) が \(A \in M_n\) の正規固有ベクトルであり、対応する固有値を \(\lambda\) とするとき、\(|\lambda|\) が \(A\) の特異値であることを示せ。

ヒント

特異値とは、行列 \(A^*A\) の固有値の平方根である。

すなわち、\(A^*A x = \sigma^2 x\) を満たすとき、\(\sigma\) が特異値である。

ここで \(x\) が \(A\) の正規固有ベクトルであり \(Ax=\lambda x\) を満たすとき、\(A^*Ax\) を計算してみることが重要である。

解答例

\(x \in \mathbb{C}^n\) を \(A\) の正規固有ベクトルとし、対応する固有値を \(\lambda\) とする。すなわち

Ax = \lambda x

が成り立つ。また、正規固有ベクトルであるから \(\|x\|=1\) としてよい。

このとき、\(A^*A x\) を計算する。

A^*A x = A^*(Ax)
       = A^*(\lambda x)
       = \lambda A^* x

ここで、\(A\) が正規行列であるとすると \(AA^* = A^*A\) が成り立つ。正規行列の性質より、\(Ax=\lambda x\) ならば

A^* x = \overline{\lambda} x

が成り立つ。したがって

A^*A x = \lambda \overline{\lambda} x
       = |\lambda|^2 x

よって \(x\) は \(A^*A\) の固有ベクトルであり、対応する固有値は \(|\lambda|^2\) である。特異値は \(A^*A\) の固有値の平方根であるから、\(|\lambda|\) は \(A\) の特異値である。


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