[行列解析2.6.p22]対称行列とエルミート積の同時対角化

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P22

2.6.問題22

\(A, B \in M_n\) が対称行列であるとする。

(a) \(A \bar B\) がエルミートであることと、ユニタリ行列 \(U \in M_n\) が存在して \(A = U \Sigma U^{\top}\)、\(B = U \Lambda U^{\top}\)、\(\Sigma, \Lambda \in M_n(\mathbb{R})\) が対角行列であり、\(\Sigma\) の対角成分が非負であることは同値であることを示せ。

(b) \(A \bar B\) がエルミートでかつ非負固有値を持つことと、ユニタリ行列 \(U \in M_n\) が存在して \(A = U \Sigma U^{\top}\)、\(B = U \Lambda U^{\top}\)、\(\Sigma, \Lambda \in M_n(\mathbb{R})\) が対角行列であり、\(\Sigma\) および \(\Lambda\) の対角成分が非負であることは同値であることを示せ。

ヒント

対称行列は特別な特異値分解により \(A = U \Sigma U^{\top}\) と書ける。ここで \(\Sigma\) は非負対角行列である。エルミート性は \((A \bar B)^* = A \bar B\) であることを意味する。

まず \(A\) を対角化し、その基底に関して \(B\) を表示する。\(A \bar B\) がエルミートであることから、対応する変換後の行列がエルミートとなり、対角成分の実数性や可換性が導かれる。

解答例

(a) まず、あるユニタリ行列 \(U\) が存在して \(A = U \Sigma U^{\top}\) と表せる。ただし \(\Sigma\) は非負対角行列である。

このとき

U^{\top} (A \bar B) \bar U
=
\Sigma \, \overline{U^{\top} B U}

と書ける。ここで \(C = U^{\top} B U\) とおくと、\(C\) も対称行列である。

\(A \bar B\) がエルミートであると仮定すると、

\Sigma \bar C
=
(\Sigma \bar C)^*
=
C \Sigma

が成り立つ。ここで \(\Sigma\) は実対角行列であるから、上式は \(\Sigma\) と \(C\) が可換であることを意味する。

したがって \(C\) は \(\Sigma\) と同じ固有空間分解に関して対角行列となる。さらにエルミート性よりその対角成分は実数である。

よって \(C = \Lambda\) は実対角行列であり、 \(B = U \Lambda U^{\top}\) と書ける。

逆に、そのような表示が存在すれば、

A \bar B
=
U \Sigma \Lambda \bar U^{\top}

となり、\(\Sigma, \Lambda\) は実対角行列であるから \(\Sigma \Lambda\) も実対角行列であり、したがって \(A \bar B\) はエルミートである。

(b) さらに \(A \bar B\) がエルミートでかつ非負固有値をもつと仮定する。このとき上と同様に \(A = U \Sigma U^{\top}\)、\(B = U \Lambda U^{\top}\) と書け、\(\Sigma, \Lambda\) は実対角行列である。

このとき

A \bar B
=
U \Sigma \Lambda \bar U^{\top}

であり、その固有値は \(\Sigma \Lambda\) の対角成分である。

非負固有値をもつという仮定より、各成分 \(\sigma_i \lambda_i \ge 0\) が成り立つ。ここで \(\sigma_i \ge 0\) であるから、各 \(\lambda_i \ge 0\) が従う。

逆に、\(\Sigma, \Lambda\) の対角成分がともに非負であれば、\(\Sigma \Lambda\) も非負対角行列であるから、\(A \bar B\) はエルミートでかつ非負固有値をもつ。

以上より、(a) および (b) の同値性が示された。


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