[行列解析2.6.p21]対称行列の同時対角化条件

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P21

2.6.問題21

\(A, B \in M_n\) が対称行列であるとする。

\(A \bar B\) が正規であることと、ユニタリ行列 \(U \in M_n\) が存在して \(A = U \Sigma U^{\top}\)、\(B = U \Lambda U^{\top}\)、\(\Sigma, \Lambda \in M_n\) が対角行列であり、\(\Sigma\) の対角成分が非負であることは同値であることを示せ。

ヒント

まず、対称行列は特別な特異値分解により \(A = U \Sigma U^{\top}\) と表せることを用いる。ここで \(\Sigma\) は非負対角行列である。

\(A \bar B\) が正規であるとは、\((A \bar B)(A \bar B)^* = (A \bar B)^*(A \bar B)\) が成り立つことである。

これを展開すると、\(A\) と \(B\) の間の可換関係が導かれる。

適切なユニタリ変換により、両者を同時に対角化できることを示す。

解答例

まず、あるユニタリ行列 \(U\) が存在して \(A = U \Sigma U^{\top}\)、\(B = U \Lambda U^{\top}\) と表せると仮定する。ただし \(\Sigma, \Lambda\) は対角行列であり、\(\Sigma\) の対角成分は非負とする。

このとき

A \bar B
=
U \Sigma U^{\top} \overline{U \Lambda U^{\top}}
=
U \Sigma U^{\top} \bar U \bar\Lambda \bar U^{\top}

ここで \(U^{\top} \bar U = I\) を用いると、

A \bar B
=
U \Sigma \bar\Lambda \bar U^{\top}

したがって

(A \bar B)^*
=
U \Lambda \bar\Sigma \bar U^{\top}

である。ここで \(\Sigma, \Lambda\) は対角行列であるから互いに可換であり、

(A \bar B)(A \bar B)^*
=
U \Sigma \bar\Lambda \Lambda \bar\Sigma \bar U^{\top}
=
(A \bar B)^*(A \bar B)

となる。よって \(A \bar B\) は正規である。

逆に、\(A \bar B\) が正規であると仮定する。まず対称行列 \(A\) について特別な特異値分解より、あるユニタリ行列 \(U\) が存在して

A = U \Sigma U^{\top}

と表せる。ただし \(\Sigma\) は非負対角行列である。

このとき

U^{\top} (A \bar B) \bar U
=
\Sigma (U^{\top} \bar B \bar U)

と書ける。ここで \(C = U^{\top} B U\) とおくと、\(C\) も対称行列である。正規性はユニタリ変換で保存されるので、 \(\Sigma \bar C\) は正規である。

\(\Sigma\) は非負対角行列であるから、\(\Sigma \bar C\) が正規であることは、\(\Sigma\) と \(C\) が可換であることを意味する。よって \(C\) は \(\Sigma\) と同じ固有空間分解に関して対角行列となる。

したがって \(C\) は対角行列であり、 \(B = U \Lambda U^{\top}\) と書ける。ただし \(\Lambda\) は対角行列である。

以上より、\(A \bar B\) が正規であることと、同一のユニタリ行列により \(A, B\) を同時に対角化できることは同値である。


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