2.6.P1
2.6.問題1
\(A \in M_{n,m}\) とし、\(n \ge m\) とする。
行列 \(A\) が列フルランクを持つことと、その特異値がすべて正であることが同値であることを示せ。
ヒント
特異値は行列 \( A \) に対して \( A^{*}A \) の固有値の平方根として定義される。
したがって、特異値が正であることは \( A^{*}A \) が正定値であることと関係する。
一方、列フルランクであることは、\( A \) の列ベクトルが一次独立であること、すなわち \( A x = 0 \) が \( x = 0 \) のみを解にもつことと同値である点に注目する。
解答例
まず、行列 \( A \in M_{n,m} \) が列フルランクをもつ、すなわち \( \operatorname{rank} A = m \) であると仮定する。
このとき、任意の \( x \in \mathbb{C}^{m} \) に対して \( A x = 0 \) ならば \( x = 0 \) が成り立つ。
この性質を用いると、任意の \( x \neq 0 \) に対して次が成り立つ。
x^{*} A^{*} A x = \| A x \|^{2} > 0
したがって、\( A^{*}A \) は正定値エルミート行列であり、その固有値はすべて正である。特異値は \( A^{*}A \) の固有値の平方根であるから、\( A \) の特異値はすべて正である。
次に、\( A \) の特異値がすべて正であると仮定する。このとき、\( A^{*}A \) の固有値はすべて正であり、\( A^{*}A \) は正定値である。
よって、任意の \( x \in \mathbb{C}^{m} \) に対して
x^{*} A^{*} A x = 0
が成り立つのは \( x = 0 \) の場合に限られる。これは \( A x = 0 \) が \( x = 0 \) のみを解にもつことを意味する。
したがって、\( A \) の列ベクトルは一次独立であり、\( A \) は列フルランクをもつ。
以上より、行列 \( A \) が列フルランクをもつことと、その特異値がすべて正であることは同値である。
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