[行列解析2.5.P8]正規性とエルミート分解の可換性

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P8

2.5.問題8

\(A \in M_n\) を \(A = H(A) + i\,K(A)\)(ここで \(H(A), K(A)\) はエルミート;(0.2.5) 参照)と表す。

\(A\) が正規であることと、\(H(A)\) と \(K(A)\) が可換であることは同値であることを示せ。

ヒント

正規性の条件 \( A^{*}A = AA^{*} \) に、分解 \( A = H(A) + iK(A) \) を代入して計算する。

エルミート性より \( H(A)^{*} = H(A) \)、\( K(A)^{*} = K(A) \) が成り立つ。

解答例

\( A = H(A) + iK(A) \) とする。

ただし \( H(A), K(A) \) はともにエルミートである。

このとき \( A^{*} = H(A) - iK(A) \) である。

まず \( A \) が正規であると仮定する。すなわち \( A^{*}A = AA^{*} \) が成り立つ。これに分解を代入すると

(H - iK)(H + iK) = (H + iK)(H - iK)

ただし簡単のため \( H = H(A), K = K(A) \) と書いた。左辺と右辺を展開すると

H^{2} + K^{2} + i(HK - KH) = H^{2} + K^{2} - i(HK - KH)

よって \( HK - KH = 0 \) が従い、\( H(A) \) と \( K(A) \) は可換である。

逆に \( H(A) \) と \( K(A) \) が可換であると仮定する。このとき \( HK = KH \) であるから、上と同様の計算より

(H - iK)(H + iK) = (H + iK)(H - iK)

が成り立つ。すなわち \( A^{*}A = AA^{*} \) であり、\( A \) は正規である。

以上より、\( A \) が正規であることと、\( H(A) \) と \( K(A) \) が可換であることは同値である。


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