[行列解析2.5.P47]正規行列の随伴行列の性質

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P47

2.5.問題47

\( A \in M_n \) が正規行列で、固有値が \(\lambda_1, \ldots, \lambda_n\) であるとする。

このとき次を示せ:

(a) \(\mathrm{adj}(A)\) は正規であり、その固有値は \(\prod_{j \neq i} \lambda_j \ (i=1,\ldots,n)\) である。

(b) \( A \) がエルミートなら \(\mathrm{adj}(A)\) もエルミートである。

(c) \( A \) が正の固有値(あるいは非負の固有値)を持つなら、\(\mathrm{adj}(A)\) も正の固有値(あるいは非負の固有値)を持つ。

(d) \( A \) がユニタリなら \(\mathrm{adj}(A)\) もユニタリである。

ヒント

正規行列はユニタリ相似によって対角化できる。随伴行列は行列多項式で表されるため、固有値や正規性は対角化を通して調べることができる。エルミート性、正定性、ユニタリ性も固有値の性質から確認できる。

解答例

\( A \) は正規行列であるから、あるユニタリ行列 \( U \) が存在して \( A = UDU^* \) と書ける。ただし \( D = \mathrm{diag}(\lambda_1,\ldots,\lambda_n) \) である。

(a) 随伴行列は行列多項式であり、\( \mathrm{adj}(A) = U\,\mathrm{adj}(D)\,U^* \) と表される。よって \( \mathrm{adj}(A) \) も正規である。対角行列 \( D \) に対しては

\mathrm{adj}(D)
=
\mathrm{diag}\!\left(
\prod_{j\neq 1}\lambda_j,\,
\prod_{j\neq 2}\lambda_j,\,
\ldots,\,
\prod_{j\neq n}\lambda_j
\right)

となるため、\( \mathrm{adj}(A) \) の固有値は \( \prod_{j\neq i}\lambda_j \ (i=1,\ldots,n) \) である。

(b) \( A \) がエルミートであれば、固有値 \( \lambda_i \) はすべて実数であり、\( D \) もエルミートである。このとき \( \mathrm{adj}(D) \) も実対角行列となるのでエルミートである。よって \( \mathrm{adj}(A) = U\,\mathrm{adj}(D)\,U^* \) もエルミートである。

(c) \( A \) の固有値がすべて正(または非負)であれば、任意の \( i \) に対して \( \prod_{j\neq i}\lambda_j \) も正(または非負)となる。したがって \( \mathrm{adj}(A) \) の固有値もすべて正(または非負)である。

(d) \( A \) がユニタリなら、固有値はすべて絶対値 1 を満たす。したがって \( \left|\prod_{j\neq i}\lambda_j\right| = 1 \) が成り立つ。よって \( \mathrm{adj}(A) \) の固有値もすべて絶対値 1 であり、\( \mathrm{adj}(A) \) はユニタリである。


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