2.5.P41
2.5.問題41
\( z \in \mathbb{C}^n \) を非零ベクトルとし、\( z = x + iy \) と書く。
ただし \( x, y \in \mathbb{R}^n \) である。
(a) 次の3つの命題が同値であることを示せ:
- (1) \(\{z, \overline{z}\}\) が線形従属である。
- (2) \(\{x, y\}\) が線形従属である。
- (3) 単位ベクトル \( u \in \mathbb{R}^n \) と非零 \( c \in \mathbb{C} \) が存在して \( z = cu \) となる。
(b) 次の命題が同値であることを示せ:
- (1) \(\{z, \overline{z}\}\) が線形独立である。
- (2) \(\{x, y\}\) が線形独立である。
- (3) 実直交ベクトル \( v, w \in \mathbb{R}^n \) が存在して、\(\mathrm{span}\{z, \overline{z}\} = \mathrm{span}\{v, w\}\) (\(\mathbb{C}\) 上)となる。
ヒント
\( z = x + iy \) と書いたとき、\( \overline{z} = x - iy \) であることに注意する。
複素数係数での線形従属・独立を、実部と虚部に分けて考えるとよい。
また、実ベクトル \( x, y \) が一次独立かどうかは、\( z \) がある実ベクトルの複素数倍として書けるかどうかと深く関係している。
解答例
(a) の同値性を示す。
(1) \( \{z, \overline{z}\} \) が線形従属であるとは、ある複素数 \( \alpha, \beta \) が存在して、少なくとも一方が零でなく、 \( \alpha z + \beta \overline{z} = 0 \) が成り立つことを意味する。ここに \( z = x + iy \), \( \overline{z} = x - iy \) を代入すると、
(\alpha + \beta)x + i(\alpha - \beta)y = 0
となる。実部と虚部がともに零でなければならないので、\( x \) と \( y \) は線形従属である。よって (1) から (2) が従う。
次に (2) から (3) を示す。\( \{x, y\} \) が線形従属であるから、ある実数 \( a, b \) が存在して \( y = ax \) または \( x = by \) と書ける。例えば \( y = ax \) とすると、 \( z = x + i(ax) = (1 + ia)x \) となる。ここで \( u = x / \|x\| \) とおけば \( u \) は単位ベクトルであり、\( c = (1 + ia)\|x\| \neq 0 \) として \( z = cu \) と表せる。
最後に (3) から (1) を示す。\( z = cu \)(\( u \in \mathbb{R}^n \), \( c \in \mathbb{C} \setminus \{0\} \))と書けるとき、\( \overline{z} = \overline{c}u \) である。したがって \( z \) と \( \overline{z} \) はともに \( u \) の複素数倍であり、線形従属である。以上より (a) の三つは同値である。
(b) は (a) の否定を用いて示す。
(1) と (2) の同値性は、(a) における対応関係から直ちに従う。
(2) が成り立つと仮定する。すなわち \( x, y \) は実線形独立である。このとき、Gram–Schmidt の正規直交化により、\( \mathrm{span}_{\mathbb{R}}\{x, y\} \) を張る実直交ベクトル \( v, w \) を取ることができる。すると \( \mathrm{span}_{\mathbb{C}}\{z, \overline{z}\} = \mathrm{span}_{\mathbb{C}}\{x, y\} = \mathrm{span}_{\mathbb{C}}\{v, w\} \) が成り立ち、(3) が従う。
逆に (3) が成り立つと、\( \mathrm{span}_{\mathbb{C}}\{z, \overline{z}\} \) は 2 次元であるから、\( z \) と \( \overline{z} \) は線形独立である。したがって (1) が成り立つ。以上より (b) の三つの命題は同値である。
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