[行列解析2.5.P32]実直交行列の回転軸分解

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P32

2.5.問題32

実直交行列 \(A \in M_{3}(\mathbb{R})\) を考える。

このとき \(A\) は1つまたは3つの実固有値をもつ。

もし \(\det(A) \gt 0\) なら、(2.5.11) を用いて \(A\) が \([1] \in M_{1}\) と平面回転の直和に直交相似であることを示せ。

これは \(\mathbb{R}^{3}\) において、原点を通るある固定された軸のまわりの角度 \(\theta\) の回転を意味する。

この事実は力学におけるオイラーの定理の一部であり、「剛体の運動は並進とある軸のまわりの回転の合成で表される」というものである。

ヒント

実直交行列の固有値は絶対値が1であり,複素固有値は共役対で現れる。

次元が3で \(\det(A) \gt 0\) の場合,実固有値の個数と積に注目する。実固有値に対応する不変部分空間と,残りの2次元不変部分空間での回転を考える。

解答例

\(A \in M_{3}(\mathbb{R})\) を実直交行列とする。このとき \(A^\top A = I\) であるから,固有値 \(\lambda\) は \(|\lambda| = 1\) を満たす。実行列であるため,複素固有値は共役対で現れる。

3次元の場合,実固有値は1個または3個である。ここで \(\det(A) \gt 0\) と仮定する。 固有値の積は \(\det(A)\) に等しいので,実固有値が1個の場合,その値は \(\lambda = 1\) でなければならない。

よって,ある非零ベクトル \(v \in \mathbb{R}^3\) が存在して \(Av = v\) を満たす。これは原点を通る1次元部分空間 \( \operatorname{span}\{v\} \) が \(A\) により不変であることを意味する。

この直交補空間 \(v^\perp\) は2次元であり,\(A\) は \(v^\perp\) を保つ。\(A\) を \(v^\perp\) に制限すると,それは2次元実直交行列であり,行列式は \(\det(A|_{v^\perp}) = 1\) である。

したがって,ある角度 \(\theta\) が存在して,適当な正規直交基底のもとで

A|_{v^\perp} =
\begin{pmatrix}
\cos\theta & -\sin\theta \\
\sin\theta & \cos\theta
\end{pmatrix}

と表される。

以上より,適当な実直交行列 \(Q\) を用いれば

Q^\top A Q =
\begin{pmatrix}
1 & 0 & 0 \\
0 & \cos\theta & -\sin\theta \\
0 & \sin\theta & \cos\theta
\end{pmatrix}

が成り立つ。すなわち,\(A\) は \([1] \in M_1\) と平面回転行列の直和に直交相似である。

これは \(\mathbb{R}^3\) において,原点を通るある固定された軸のまわりの角度 \(\theta\) の回転を表している。


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