[行列解析2.5.P29]2×2行列の正規性と本質的エルミート性

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P29

2.5.問題29

\(A = \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix} \in M_{2}\) とし、\(bc \neq 0\) と仮定する。

(a) \(A\) が正規であることと、ある \(\theta \in \mathbb{R}\) が存在して \(c = e^{i\theta}b\) かつ \(a - d = e^{i\theta} b (\overline{a} - \overline{d})/\overline{b}\) が成り立つことは同値であることを示せ。

特に、\(A\) が正規なら \(|c| = |b|\) でなければならない。

(b) \(b = |b| e^{i\varphi}\) とする。

もし \(A\) が正規で \(c = b e^{i\theta}\) なら、\(e^{-i(\varphi + \theta/2)}(A - aI)\) がエルミートであることを示せ。

逆に、ある \(\gamma \in \mathbb{C}\) が存在して \(A - \gamma I\) が本質的にエルミートであるなら、\(A\) は正規であることを示せ。

(c) \(A\) が実行列なら、(a) より次が成り立つことを導け:

\(A\) が正規であることと、\(c = b\)(すなわち \(A = A^{T}\))または \(c = -b\) かつ \(a = d\)(すなわち \(AA^{T} = (a^{2} + b^{2})I\)、かつ \(a = 0\) の場合 \(A = -A^{T}\))であることは同値である。

ヒント

正規性は \(AA^{*}=A^{*}A\) によって特徴づけられる。2×2行列では成分計算によりこの条件を具体的に書き下せる。また位相因子を用いたスカラー倍によりエルミート性を調べることが有効である。実行列の場合は複素共役が不要になり条件が簡単化する。

解答例

(a) \(A\) が正規であるとは \(AA^{*}=A^{*}A\) が成り立つことである。ここで

A^{*}=\begin{bmatrix}\overline{a}&\overline{c}\\\overline{b}&\overline{d}\end{bmatrix}

である。直接計算すると,非対角成分の一致条件から

b(\overline{a}-\overline{d})=\overline{c}(a-d)

を得る。仮定 \(bc\neq0\) の下で,ある \(\theta\in\mathbb{R}\) が存在して \(c=e^{i\theta}b\) と書け,このとき

a-d=e^{i\theta}b(\overline{a}-\overline{d})/\overline{b}

が成り立つことと同値である。特に \(|c|=|b|\) が従う。

(b) \(b=|b|e^{i\varphi}\) とし,\(A\) が正規で \(c=be^{i\theta}\) と仮定する。(a) の結果を用いると,位相因子を掛けた行列

e^{-i(\varphi+\theta/2)}(A-aI)

は自己随伴,すなわちエルミートであることが分かる。逆に,ある \(\gamma\in\mathbb{C}\) が存在して \(A-\gamma I\) が本質的にエルミートであるなら,定数倍と単位行列の加減は正規性を保つため,\(A\) 自身も正規である。

(c) \(A\) が実行列の場合,条件は簡単化される。(a) より,正規性は \(c=\pm b\) を与える。さらに \(c=b\) のとき \(A=A^{T}\) で対称行列であり,\(c=-b\) のときは \(a=d\) が必要で,

AA^{T}=(a^{2}+b^{2})I

が成り立つ。特に \(a=0\) なら \(A=-A^{T}\) となる。以上より主張が示された。


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました