[行列解析2.5.P15]正規行列の相似と特性多項式

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P15

2.5.問題15

2つの正規行列が相似であることと、それらが同じ特性多項式をもつことは同値であることを示せ。

正規行列であるという仮定を取り除いた場合、この命題は成り立つかどうかを考察せよ。

次の例を考えよ。

 \begin{bmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 0 \end{bmatrix}, \quad \begin{bmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 0 \end{bmatrix}. 

ヒント

正規行列はユニタリ行列によって対角化できるという性質を用いる。

同じ特性多項式をもつことは、固有値(重複度込み)が一致することと同値である。

解答例

まず、2つの正規行列 \(A,B \in M_n\) が相似であると仮定する。

相似であるから、ある可逆行列 \(S\) が存在して \(B = S^{-1}AS\) と書ける。
このとき相似行列は同じ特性多項式をもつので、\(A\) と \(B\) の特性多項式は一致する。

次に、\(A\) と \(B\) がともに正規で、同じ特性多項式をもつと仮定する。
正規性より、あるユニタリ行列 \(U,V\) が存在して \(A = U \Lambda U^{\ast}\), \(B = V \Lambda V^{\ast}\) と表せる。
ただし \(\Lambda\) は固有値を対角成分にもつ対角行列であり、特性多項式が同じであることから、両者で同一の \(\Lambda\) を取ることができる。

このとき \(B = (V U^{\ast}) A (U V^{\ast})\) が成り立ち、\(VU^{\ast}\) は可逆であるから、\(A\) と \(B\) は相似である。
したがって、正規行列に対しては「相似であること」と「特性多項式が等しいこと」は同値である。

次に、正規性の仮定を外した場合を考える。行列 \(\begin{bmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 0 \end{bmatrix}\) と \(\begin{bmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 0 \end{bmatrix}\) はいずれも特性多項式が \( \lambda^{2} \) であり、同じ特性多項式をもつ。

しかし、前者は零行列であり、後者は冪零だが零ではない行列であるため、両者は相似ではない。
したがって、正規行列であるという仮定を外すと、この命題は成り立たない。


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