2.5.5
定理 2.5.5.
\( N \subseteq M_n \) を正規行列の空でない族とします。このとき、次の2つは同値です:
- \( N \) が可換な族である。
- \( N \) が同時にユニタリ対角化可能な族である。
任意の \( A_0 \in N \) およびその固有値 \( \lambda_1, \ldots, \lambda_n \) の任意の順序に対して、あるユニタリ行列 \( U \in M_n \) が存在して:
U^* A_0 U = \mathrm{diag}(\lambda_1, \ldots, \lambda_n)
かつ、すべての \( B \in N \) に対して \( U^* B U \) も対角行列になります。
練習問題:
(2.3.3) と「三角行列で正規なら対角行列である」という事実を使って、定理 (2.5.5) を証明せよ。
\( A_0 \) に関する最終的な主張は、(1.3.21) の証明と同様に、任意の置換行列がユニタリであることから導かれます。
定理 (2.5.3) をエルミート行列の場合に適用することで、エルミート行列のスペクトル定理と呼ばれる基本的な結果が得られます。
行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。
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