[行列解析2.4.p35]すべてのユニタリ行列と可換な行列の特徴づけ

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.4.P35

2.4.問題35

\( A \in \mathbb{M}_n(F) \) (\( F = \mathbb{R} \) または \( \mathbb{C} \))とする。

\( A \) が \( \mathbb{M}_n(F) \) のすべてのユニタリ行列と可換であることと、\( A \) がスカラー行列であることが同値であることを シルベスターの定理(2.4.4.2) を用いて示せ。

ヒント

シルベスターの定理(2.4.4.2) より、任意の行列 \( A \) は適当なユニタリ行列 \( U \) を用いて上三角化できることに注意する。

すべてのユニタリ行列と可換であるという条件を、特に対角ユニタリ行列に適用することで、成分ごとの制約を導く。

解答例

まず、\( A \) がスカラー行列であると仮定する。すなわち \( A = \lambda I_n \) と書けるとする。このとき任意のユニタリ行列 \( U \) に対して \( AU = \lambda U = U \lambda = UA \) が成り立つので、\( A \) はすべてのユニタリ行列と可換である。

次に、\( A \) が \( \mathbb{M}_n(F) \) のすべてのユニタリ行列と可換であると仮定する。(2.4.4.2) より、あるユニタリ行列 \( U \) が存在して、

U^* A U =
\begin{pmatrix}
\lambda_1 & * & \cdots & * \\
0 & \lambda_2 & \cdots & * \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
0 & 0 & \cdots & \lambda_n
\end{pmatrix}

と上三角化できる。ここで \( A \) はすべてのユニタリ行列と可換であるから、特に任意の対角ユニタリ行列 \( D = \mathrm{diag}(e^{i\theta_1},\dots,e^{i\theta_n}) \) と可換である。

この条件を \( U^*AU \) に適用すると、\( D(U^*AU) = (U^*AU)D \) が成り立つ。成分を比較すると、対角成分以外はすべて 0 でなければならず、さらに \( \lambda_1 = \lambda_2 = \cdots = \lambda_n \) が従う。

したがって \( U^*AU = \lambda I_n \) となり、両辺に \( U \) を掛けることで \( A = \lambda I_n \) を得る。よって \( A \) はスカラー行列である。

以上より、\( A \) がすべてのユニタリ行列と可換であることと、\( A \) がスカラー行列であることは同値である。


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