2.4.P18
2.4.問題18
行列 \( A = \begin{pmatrix} A_{11} & A_{12} \\ 0 & A_{22} \end{pmatrix} \in \mathbb{M}_n \)、ただし \( A_{11} \in \mathbb{M}_k \), \( 1 \leq k < n \), \( A_{22} \in \mathbb{M}_{n-k} \) とする。
\( A \) が零行列的(nilpotent)であることと、\( A_{11} \) と \( A_{22} \) の両方が零行列的であることが同値であることを示せ。
ヒント
零行列的であるとは、ある正の整数 \( m \) に対して \( A^m = O \) となることを意味する。
与えられた行列 \( A \) は上三角ブロック行列であるため、累乗 \( A^m \) も同様に上三角ブロックの形を保ち、対角ブロックにはそれぞれ \( A_{11}^m \) と \( A_{22}^m \) が現れる点に注目するとよい。
解答例
まず、\( A \) が零行列的であると仮定する。このとき、ある正の整数 \( m \) が存在して \( A^m = O \) となる。
行列 \( A \) は上三角ブロック行列であるから、その累乗 \( A^m \) も同様に上三角ブロック行列となり、次の形をもつ。
A^m =
\begin{pmatrix}
A_{11}^m & * \\
0 & A_{22}^m
\end{pmatrix}
ここで \( * \) は具体的な形を問わないブロックである。仮定より \( A^m = O \) であるから、特に対角ブロックは零行列でなければならない。したがって \( A_{11}^m = O \) および \( A_{22}^m = O \) が成り立つ。よって \( A_{11} \) と \( A_{22} \) はともに零行列的である。
次に、\( A_{11} \) と \( A_{22} \) がともに零行列的であると仮定する。このとき、ある正の整数 \( p,q \) が存在して \( A_{11}^p = O \)、\( A_{22}^q = O \) となる。
\( m = \max\{p,q\} \) とおくと、\( A_{11}^m = O \) かつ \( A_{22}^m = O \) が成り立つ。前と同様に \( A^m \) を計算すると、
A^m =
\begin{pmatrix}
A_{11}^m & * \\
0 & A_{22}^m
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
O & * \\
0 & O
\end{pmatrix}
となる。さらに上三角ブロック行列の積の性質から、十分大きな冪では右上ブロックも零行列となり、結局 \( A^m = O \) が得られる。したがって \( A \) は零行列的である。
以上より、\( A \) が零行列的であることと、\( A_{11} \) と \( A_{22} \) の両方が零行列的であることは同値である。
行列解析の総本山
総本山の目次📚

記号の意味🔎




コメント