[行列解析2.3.p6]同時上三角化から交換子の固有値が零であること

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.3.P6

2.3.問題6

\( A, B \in M_n \) が与えられ、両者が同時に上三角化可能、すなわちある正則行列 \( S \in M_n \) に対して
\( S^{-1} A S \) および \( S^{-1} B S \) がともに上三角行列であるとする。このとき、
\( AB - BA \) のすべての固有値が 0 であることを示せ。

ヒント

行列 \( A \) と \( B \) が同時に上三角化可能であると仮定する。

すると、ある正則行列 \( S \) により、\( S^{-1}AS \) と \( S^{-1}BS \) はともに上三角行列となる。

このとき交換子 \( AB-BA \) は相似変換で \( S^{-1}(AB-BA)S \) と等しい。

上三角行列同士の積の差を考えると、対角成分がすべて 0 になることに注意する。

したがって交換子は上三角で対角成分が 0 となり、固有値が 0 であることが分かる。

解答例

仮定より、ある正則行列 \( S \) が存在して、\( S^{-1}AS \) および \( S^{-1}BS \) はともに上三角行列である。

ここで交換子 \( AB-BA \) を考える。相似変換の性質より、次が成り立つ。

S^{-1}(AB-BA)S = S^{-1}ABS - S^{-1}BAS = (S^{-1}AS)(S^{-1}BS) - (S^{-1}BS)(S^{-1}AS)

ここで \( S^{-1}AS \) を \( T_A \)、\( S^{-1}BS \) を \( T_B \) とおくと、両者は上三角行列である。したがって右辺は

T_A T_B - T_B T_A

という形の上三角行列となる。

このとき、上三角行列の積の対角成分は、それぞれの対角成分の積になるので、 \( T_A T_B \) と \( T_B T_A \) の対角成分はともに \( (\text{diag }T_A)(\text{diag }T_B) \) で等しい。したがって

\text{diag}(T_A T_B - T_B T_A)=0

となり、\( T_A T_B - T_B T_A \) は上三角で、すべての対角成分が 0 の行列である。

このような行列の固有値はすべて 0 である。

さらに \( S \) は正則であるため、\( AB-BA \) と \( S^{-1}(AB-BA)S \) は相似であり、固有値は一致する。

したがって \( AB-BA \) のすべての固有値も 0 である。以上より、同時上三角化可能性から交換子 \( AB-BA \) の固有値がすべて 0 であることが示された。


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