[行列解析2.3.p3]実行列で非実固有値が共役対となる理由

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.3.P3

2.3.問題3

\( A \in M_n(\mathbb{R}) \) の場合、非実固有値(存在するならば)は共役な対として現れる理由を説明せよ。

ヒント

実行列 \(A\) の特性多項式は係数が実数になる。

このため、その根である固有値が複素数となる場合には、複素共役を取っても同じ多項式の根になることがポイントである。

複素係数の多項式の基本事実として、実係数多項式の非実根は必ず共役な対として現れる。この性質を固有値に適用すればよい。

解答例

実行列 \(A \in M_n(\mathbb{R})\) を考える。固有値 \(\lambda\) は特性多項式

p_A(t)=\det(tI-A)

の根として定義される。行列 \(A\) のすべての成分が実数であるので、行列式の展開式に現れる係数もすべて実数となる。したがって \(p_A(t)\) は実係数多項式である。

いま \(A\) が非実固有値 \(\lambda \in \mathbb{C}\setminus \mathbb{R}\) をもつと仮定する。このとき

p_A(\lambda)=0

が成り立つ。ここで複素共役を取ると

\overline{p_A(\lambda)}=\overline{0}=0

となる。一方、\(p_A(t)\) の係数は実数であるため、

\overline{p_A(\lambda)}=p_A(\overline{\lambda})

が成立する。よって

p_A(\overline{\lambda})=0

が従い、\(\overline{\lambda}\) も特性多項式の根、すなわち \(A\) の固有値である。

したがって、実行列 \(A\) が非実固有値をもつ場合、それは必ず複素共役な対 \(\lambda\) と \(\overline{\lambda}\) の組として現れることがわかる。

この理由は、特性多項式の係数が実数であるという事実に基づいている。


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