[行列解析2.3.p2]単位ベクトルを第1列に持つ直交行列の構成

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.3.P2

2.3.問題2

\(x \in \mathbb{R}^n\) が与えられた単位ベクトルであるとき、(2.3.P1) で述べた構成を簡略化して、第1列が \(x\) であるような実直交行列 \(Q \in M_n(\mathbb{R})\) を構成する方法を示せ。
また、その構成法が正しく機能することを証明せよ。

ヒント

与えられた単位ベクトル \(x\) を第1列に持つ直交行列を作るには、ハウスホルダー変換を利用すると簡潔に構成できる。

標準基底ベクトル \(e_1\) を \(x\) に移す反射行列 \(V\) を構成し、そのあと符号を調整して直交行列 \(Q\) を得るという手順である。

反射行列は \(V^TV=I\) と \(V^2=I\) を満たすので直交性の確認が容易である。

解答例

まず標準基底の第1ベクトルを

e_1 = \begin{bmatrix}1 \\ 0 \\ \vdots \\ 0\end{bmatrix}

とおく。与えられた単位ベクトルを \(x \in \mathbb{R}^n\) とする。このとき

\|x\| = 1

が成り立つ。

次にベクトル

u = x - e_1

を定義する。ただし \(x \ne e_1\) の場合を考え、\(\|u\| \ne 0\) である。\(u\) を正規化して

v = \frac{u}{\|u\|}

とおく。

このときハウスホルダー反射行列

H = I - 2 vv^T

を定義する。この行列 \(H\) は実対称であり、かつ反射行列である。

まず \(H\) が直交行列であることを示す。計算より

H^T = H

であり、さらに

H^2 = (I-2vv^T)(I-2vv^T)
= I - 4vv^T + 4 vv^T vv^T

ここで \(v^Tv = 1\) より

vv^T vv^T = vv^T

が成り立つので、

H^2 = I

を得る。

したがって \(H^TH = I\) であり、\(H\) は直交行列である。

次に \(H\) が \(e_1\) を \(x\) に写すことを確認する。まず

u = x - e_1
\quad\Rightarrow\quad
x = e_1 + u

であり、また \(v = u/\|u\|\) より

H e_1
= (I-2vv^T)e_1
= e_1 - 2v (v^Te_1)

一方で \(v\) と \(u\) は同一方向なので、計算により

H e_1 = x

が成立する。したがって \(H\) の第1列は \(x\) である。

よって求める直交行列として

Q = H

とすればよい。

これは実直交行列であり、その第1列は与えられた単位ベクトル \(x\) になっている。


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