2.3.P13
2.3.問題13
次の行列を考える:
A =
\begin{bmatrix}
-2 & 5 \\
-1 & 2
\end{bmatrix}
(a) \( \pm i \) が固有値であることを示し、\( A \) が次の行列と実相似であることを示せ:
B =
\begin{bmatrix}
0 & 1 \\
-1 & 0
\end{bmatrix}
(b) \( A \) は \( B \) と実直交相似でない理由を説明せよ。
ヒント
行列の固有値は特性多項式から求める。
特に \(2\times 2\) 行列では跡と行列式から特性多項式を作ると計算が簡単である。
実相似性は最小多項式(特性多項式)が既約二次式であることから標準形を考えるとよい。
直交相似性は、直交行列による相似変換が長さを保つこと、すなわち \(A^{T}A\) の性質や行列が直交行列かどうかが保存されることを利用する。
解答例
行列 \(A\) を
A=\begin{pmatrix}
-2 & 5\\
-1 & 2
\end{pmatrix}
行列 \(B\) を
B=\begin{pmatrix}
0 & -1\\
1 & 0
\end{pmatrix}
とする。
(a) 固有値を求めるために特性多項式を計算する。行列の跡と行列式はそれぞれ \( \mathrm{tr}(A)=0 \)、 \( \det(A)=1 \) である。
p_A(\lambda)=\det(\lambda I-A)=\lambda^{2}-\mathrm{tr}(A)\lambda+\det(A)=\lambda^{2}+1
よって固有値は
\lambda=\pm i
である。最小多項式も \( \lambda^{2}+1 \) であり、これは実数体上で既約二次式である。このとき実相似の標準形はその既約多項式のコンパニオン行列であり、それはまさに
\begin{pmatrix}
0 & -1\\
1 & 0
\end{pmatrix}
である。したがって \(A\) は \(B\) と実相似である。すなわち、ある実正則行列 \(P\) が存在して
P^{-1}AP=B
が成り立つ。
(b) 次に \(A\) と \(B\) が実直交相似でないことを示す。もし \(A\) と \(B\) が実直交相似であるなら、ある直交行列 \(Q\) によって
Q^{\top}A Q=B
となる。このとき \(B\) が直交行列であるので \(B^{\top}B=I\) が成り立つ。直交相似であれば直交性は保存されるので、\(A\) も直交行列でなければならない。
しかし実際には
A^{\top}A=\begin{pmatrix}
5 & -12\\
-12 & 29
\end{pmatrix}\neq I
であり、\(A^{\top}A=I\) は成立しない。したがって \(A\) は直交行列ではない。
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