[行列解析2.3.p1]エルミート行列の自乗計算と単位性の確認

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.3.P1

2.3.問題1

\(x \in \mathbb{C}^n\) を与えられた単位ベクトルとし、
\(x = \begin{bmatrix} x_1 \\ y \end{bmatrix} \) と書く。ただし、\(x_1 \in \mathbb{C}\)、\(y \in \mathbb{C}^{n-1}\) である。

実数 \(\theta \in \mathbb{R}\) を、\(e^{i\theta} x_1 \geq 0\) となるように選び、
\(z = e^{i\theta} x = \begin{bmatrix} z_1 \\ \zeta \end{bmatrix} \) と定義する。ここで、\(z_1 \in \mathbb{R}\) は非負であり、\(\zeta \in \mathbb{C}^{n-1}\) である。

以下のエルミート行列 \(V_x\) を考える。

(2.3.8)
V_x =
\left[
\begin{array}{c:cc}
z_1 & \zeta^* \\
\hdashline
\zeta & -I + \dfrac{1}{1 + z_1} \zeta \zeta^*
\end{array}
\right]

ブロック積の計算を用いて、\(V_x^* V_x = V_x^2\) を計算せよ。
これより、\(U = e^{-i\theta} V_x = [x\ u_2\ \ldots\ u_n]\) は単位行列であり、その第1列が与えられたベクトル \(x\) であることが分かる。

ヒント

行列 \(V_x\) はエルミート行列であるので \(V_x^* = V_x\) が成り立つ。

このため、\(V_x^*V_x\) を求めることは \(V_x^2\) を求めることと同値である。

ブロック行列の積を用いれば、対角成分・非対角成分ごとに計算できる。

なお、\(z\) は単位ベクトルなので \(z_1^2 + \|\zeta\|^2 = 1\) が重要な等式となる。

解答例

まず、問題の設定より \(z\) は単位ベクトルであるから、

z_1^2 + \|\zeta\|^2 = 1

が成り立つ。

また \(z_1 \in \mathbb{R}\) で \(z_1 \ge 0\) である。次に、行列 \(V_x\) を

V_x =
\begin{bmatrix}
z_1 & \zeta^* \\
\zeta & -I + \dfrac{1}{1+z_1}\,\zeta \zeta^*
\end{bmatrix}

と書く。ここで \(\alpha = \dfrac{1}{1+z_1}\) とおく。ブロック行列の積を用いて \(V_x^2\) を計算する。

まず左上成分は

z_1^2 + \zeta^* \zeta
= z_1^2 + \|\zeta\|^2
= 1

となる。

次に右上成分を計算する:

z_1 \zeta^*
+ \zeta^*\!\left(-I+\alpha \zeta\zeta^*\right)
= (z_1-1)\zeta^*
+ \alpha \|\zeta\|^2 \zeta^*

ここで \(\|\zeta\|^2 = 1 - z_1^2\) を用いると係数は

(z_1-1) + \alpha(1-z_1^2)
= (z_1-1) + \frac{1-z_1^2}{1+z_1}
= 0

となるので、右上成分は 0 である。同様に左下成分も 0 になる。

最後に右下成分を求める:

\zeta \zeta^*
+
\left(-I+\alpha \zeta\zeta^*\right)^2
=
\zeta\zeta^*
+
I
-2\alpha \zeta\zeta^*
+
\alpha^2(\zeta\zeta^*)^2

ここで \((\zeta\zeta^*)^2 = \|\zeta\|^2 \zeta\zeta^*\) を用いると、

= I
+
\left(
1 - 2\alpha + \alpha^2 \|\zeta\|^2
\right)\zeta\zeta^*

係数を計算すると

1 - 2\alpha + \alpha^2(1-z_1^2)
=
1 - \frac{2}{1+z_1}
+ \frac{1-z_1^2}{(1+z_1)^2}
= 0

よって右下成分は \(I\) となる。

以上より

V_x^2 = I

が得られる。

また \(V_x\) はエルミート行列であるため \(V_x^* = V_x\) が成り立ち、

V_x^*V_x = V_x^2 = I

となる。したがって \(V_x\) はユニタリであり、かつ自己随伴な反射行列である。


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました