[行列解析2.1.p14]ユニタリ行列と複素直交行列の交差

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.1.p14

2.1.問題14

\( M_n \) におけるユニタリ行列の群と、複素直交行列の群の交差が、実直交行列の群であることを示せ。

ヒント

ユニタリ行列は条件 \( U^{*}U = I \) を満たす行列であり、複素直交行列は条件 \( Q^{T}Q = I \) を満たす行列である。両方を同時に満たす行列を考えると、随伴 \( U^{*} \) と転置 \( U^{T} \) の関係から、成分が必ず実数になることを示すことができる。したがって、それらは実係数で直交条件 \( R^{T}R = I \) を満たす行列、すなわち実直交行列であることが分かる。逆に実直交行列は両方の条件を満たすため、交差が実直交行列の群に等しいことが従う。

解答例

ユニタリ行列の群を \( U(n) \)、複素直交行列の群を \( O(n,\mathbb{C}) \)、実直交行列の群を \( O(n,\mathbb{R}) \) と書くことにする。示すべきことは

U(n)\cap O(n,\mathbb{C}) = O(n,\mathbb{R})

である。

まず包含 \( O(n,\mathbb{R}) \subset U(n)\cap O(n,\mathbb{C}) \) を示す。
\( A \in O(n,\mathbb{R}) \) とすると \( A \) は実行列であり、かつ

A^{T}A = I

を満たす。実行列では \( A^{*}=A^{T} \) であるから、

A^{*}A = A^{T}A = I

が成り立つ。よって \( A \in U(n) \) かつ \( A \in O(n,\mathbb{C}) \) である。したがって

O(n,\mathbb{R}) \subset U(n)\cap O(n,\mathbb{C})

が成立する。

次に逆包含 \( U(n)\cap O(n,\mathbb{C}) \subset O(n,\mathbb{R}) \) を示す。
\( A \in U(n)\cap O(n,\mathbb{C}) \) と仮定すると、

(1) ユニタリ条件 \( A^{*}A = I \)
(2) 複素直交条件 \( A^{T}A = I \)

の両方が成り立つ。

この二つを比較すると、

A^{*}A = A^{T}A

となり、右から \( A^{-1} \) を掛けることで

A^{*} = A^{T}

を得る。

任意の複素行列 \( A=(a_{ij}) \) に対して
\( A^{T}=(a_{ji}) \)、 \( A^{*}=(\overline{a_{ji}}) \)
であるから、\( A^{*}=A^{T} \) が成り立つためにはすべての成分について

\overline{a_{ij}} = a_{ij}

でなければならない。したがって \( a_{ij} \) はすべて実数であり、\( A \) は実行列である。

さらに \( A^{T}A = I \) が成立しているので、\( A \) は実直交行列、すなわち \( O(n,\mathbb{R}) \) の元である。

以上により

U(n)\cap O(n,\mathbb{C}) \subset O(n,\mathbb{R})

が成り立つ。

二つの包含を合わせて最終的に

U(n)\cap O(n,\mathbb{C}) = O(n,\mathbb{R})

が成立する。以上で主張は証明された。


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