[行列解析2.1.p13]ユニタリ相似性の判定方法と具体例解説

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.1.p13

2.1.問題13

\( \mathrm{diag}(2, \tfrac{1}{2}) \in M_2 \) を考える。ユニタリ行列と相似な行列の集合が、\( A^{-1} \) が \( A^* \) と相似であるようなすべての行列の集合の真部分集合であることを示せ。

ヒント

まず、\( A \) がユニタリ行列と相似であるならば、前問と同様の議論により \( A^{-1} \) は必ず \( A^{*} \) と相似になることを用いる。したがって「ユニタリ行列と相似な行列の集合」は、「\( A^{-1} \) が \( A^{*} \) と相似である行列の集合」に含まれることがわかる。次に、具体例 \( A=\operatorname{diag}(2,1/2) \) を用いて、\( A^{-1} \) と \( A^{*} \) が相似であるにもかかわらず、\( A \) 自身はどのユニタリ行列とも相似でないことを示す。これにより包含関係が真であることが結論できる。

解答例

まず、任意のユニタリ行列 \( U \) に対して \( U^{-1}=U^{*} \) が成り立つので、\( A \) がユニタリ行列と相似であれば、標準的な相似変換の計算により \( A^{-1} \) は \( A^{*} \) と相似である。このことから

\{A:\, A\ \text{はユニタリ行列と相似}\}
\subset
\{A:\, A^{-1}\ \text{が}\ A^{*}\ \text{と相似}\}

が成り立つ。

次に、この包含が真であることを示すために反例を与える。行列

A = \operatorname{diag}(2,\tfrac{1}{2})

を考える。

まず \( A^{-1} \) を計算すると、

A^{-1} = \operatorname{diag}\!\left(\tfrac{1}{2},\,2\right)

となる。また \( A \) の成分はすべて実数であるので、随伴は転置と一致し、

A^{*} = A = \operatorname{diag}(2,\tfrac{1}{2})

である。

ここで置換行列

P =
\begin{pmatrix}
0 & 1 \\
1 & 0
\end{pmatrix}

を用いると、

P A^{*} P^{-1}
=
\operatorname{diag}\!\left(\tfrac{1}{2},\,2\right)
=
A^{-1}

が成り立つので、\( A^{-1} \) は \( A^{*} \) と相似である。

一方で、行列がユニタリ行列と相似であるためには、その固有値はすべて絶対値 1 をもたなければならない。実際、ユニタリ行列の固有値は常に複素単位円周上にある。ところが \( A \) の固有値は

\lambda_1 = 2,\quad \lambda_2 = \tfrac{1}{2}

であり、その絶対値は \( 2 \) と \( 1/2 \) であっていずれも 1 ではない。

したがって \( A \) はどのユニタリ行列とも相似ではない。

以上により、

(1) ユニタリ行列と相似ならば必ず \( A^{-1} \sim A^{*} \)
(2) その逆は成り立たない(上の反例)

が示されたので、ユニタリ行列と相似な行列の集合は、\( A^{-1} \) が \( A^{*} \) と相似である行列全体の集合の真部分集合である。


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