[行列解析2.1.p11]斜直交行列と位相付き直交行列の同値性

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.1.p11

2.1.問題11

正則行列 \( A \in M_n \) が斜直交行列(skew orthogonal)であるとは、
\( A^{-1} = -A^{\top} \) が成り立つときである。以下を示せ:

  • \( A \) が斜直交 ⇔ \( \pm iA \) が直交行列。
  • より一般に、\( \theta \in \mathbb{R} \) に対して、\( A^{-1} = e^{i\theta} A^{\top} \) ⇔ \( e^{i\theta/2}A \) が直交行列。
  • このとき、\( \theta = 0 \)、および \( \theta = \pi \) の場合に何が起こるか。

ヒント

直交行列: \( A^{-1} = A^{\top} \) を満たす実行列

与えられた条件をこの形に帰着させるために、定数倍した行列の逆行列と転置を計算することが基本方針である。 行列 \( \pm iA \) を考える。

解答例

まず、正則行列 \( A \in M_n \) が斜直交であるとは \( A^{-1} = -A^{\top} \) が成り立つことである。このとき行列 \( \pm iA \) を考える。

\( iA \) の逆行列は \( (iA)^{-1} = -iA^{-1} \) であり、仮定より \( (iA)^{-1} = -i(-A^{\top}) = iA^{\top} \) となる。一方、転置は \( (iA)^{\top} = iA^{\top} \) である。したがって

(iA)^{-1} = (iA)^{\top}

が成り立ち、\( iA \) は直交行列である。同様に \( -iA \) についても直交行列である。逆に \( \pm iA \) が直交行列であると仮定すれば、同じ計算を逆にたどることで \( A^{-1} = -A^{\top} \) が従う。よって \( A \) が斜直交であることと \( \pm iA \) が直交行列であることは同値である。

次に、より一般に \( \theta \in \mathbb{R} \) に対して \( A^{-1} = e^{i\theta}A^{\top} \) が成り立つと仮定する。行列 \( B = e^{i\theta/2}A \) を考えると、

B^{-1} = e^{-i\theta/2}A^{-1} = e^{-i\theta/2}e^{i\theta}A^{\top} = e^{i\theta/2}A^{\top} = B^{\top}

が成り立つ。したがって \( B \) は直交行列である。逆に \( e^{i\theta/2}A \) が直交行列であると仮定すれば、同様の計算により \( A^{-1} = e^{i\theta}A^{\top} \) が得られる。よって両条件は同値である。

最後に特別な場合を考える。\( \theta = 0 \) のとき条件は \( A^{-1} = A^{\top} \) となり、これは \( A \) が直交行列であることを意味する。\( \theta = \pi \) のときは \( A^{-1} = -A^{\top} \) となり、これは \( A \) が斜直交行列であることを意味する。

補足

(1) \( A \) が斜直交 ⇔ \( \pm iA \) が直交行列。

\( A^{-1} = -A^{\top} \)とする。

(iA)^{\top} (i A)  = i^2(A^{\top}A)=(-A^{\top})A=A^{-1}A=I \\
(iA) (i A)^{\top}  = i^2(AA^{\top})=A(-A^{\top})=AA^{-1}=I \\

(-iA)^{\top} (-iA)  = (-i)^2(A^{\top}A)=(-A^{\top})A=A^{-1}A=I \\
(-iA) (-iA)^{\top}  = (-i)^2(AA^{\top})=A(-A^{\top})=AA^{-1}=I \\

逆に、\((\pm iA)^{\top}(\pm iA)=(\pm iA)(\pm iA)^{\top}=I \)とする。

(\pm iA)^{\top}(\pm iA)=(\pm iA)(\pm iA)^{\top}=I \\
(\pm A)^{\top}(\pm A)=(\pm A)(\pm A)^{\top}=-I \\
(-(\pm A))^{\top}(\pm A)=(-(\pm A))(\pm A)^{\top}=I \\
∴
(\pm A)^{-1} = -(\pm   A)^{\top}

(2) \( \theta \in \mathbb{R} \) に対して、\( A^{-1} = e^{i\theta} A^{\top} \) ⇔ \( e^{i\theta/2}A \) が直交行列。


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