[行列解析1.4.9]定理

1.4.9

定理 1.4.9.

\( A, B \in M_n \) とし、ある正則行列 \( S \) に対して \( B = S^{-1}AS \) が成り立つとする。もし \( x \in \mathbb{C}^n \) が \( B \) の固有値 \(\lambda\) に対応する右固有ベクトルであるならば、\( Sx \) は \( A \) の固有値 \(\lambda\) に対応する右固有ベクトルである。同様に、もし \( y \in \mathbb{C}^n \) が \( B \) の固有値 \(\lambda\) に対応する左固有ベクトルであるならば、\( S^{-*}y \) は \( A \) の固有値 \(\lambda\) に対応する左固有ベクトルである。

証明.

もし \( Bx = \lambda x \) ならば、

S^{-1}ASx = \lambda x

すなわち

A(Sx) = \lambda (Sx)

が成り立つ。\( S \) は正則であり、かつ \( x \neq 0 \) なので \( Sx \neq 0 \) である。したがって \( Sx \) は \( A \) の固有ベクトルである。

同様に、もし \( y^{*}B = \lambda y^{*} \) ならば、

y^{*}S^{-1}AS = \lambda y^{*}

すなわち

(S^{-*}y)^{*}A = \lambda (S^{-*}y)^{*}

が成り立つ。■

主要部分行列の固有値に関する情報は、「固有値の代数的重複度はその幾何的重複度より小さくはなり得ない」という基本的観察をさらに洗練するものである。


行列解析の総本山

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