[行列解析1.3.P6]対角行列と対角化可能行列の特性多項式

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.3.P6

1.3.問題6

(a) \( \Lambda = \mathrm{diag}(\lambda_1, \ldots, \lambda_n) \) のとき、\( p_{\Lambda}(\Lambda) \) が零行列であることを示せ。

(b) \( A \in M_n \) が対角化可能であると仮定する。

このとき \( p_A(t) = p_{\Lambda}(t) \) かつ \( p_{\Lambda}(A) = S \, p_{\Lambda}(\Lambda) \, S^{-1} \) となる理由を説明せよ。

これより \( p_A(A) \) が零行列であることを結論づけよ。

ヒント

特性多項式 \( p_A(t) \) は行列の固有値だけで決まる多項式である。まず対角行列の場合には、行列に多項式を代入すると各対角成分ごとに計算できることに注意する。次に、行列 \( A \) が対角化可能であるとき、\( A = S \Lambda S^{-1} \) と表せるため、多項式 \( p \) に対しても \( p(A) = S p(\Lambda) S^{-1} \) が成り立つことを用いる。

解答例

(a) \( \Lambda = \mathrm{diag}(\lambda_1,\ldots,\lambda_n) \) とする。特性多項式 \( p_{\Lambda}(t) \) は \( p_{\Lambda}(t) = \prod_{i=1}^n (t-\lambda_i) \) である。行列に多項式を代入すると \( p_{\Lambda}(\Lambda) = \prod_{i=1}^n (\Lambda-\lambda_i I) \) となるが、\( \Lambda-\lambda_i I \) は対角成分に \( \lambda_j-\lambda_i \) をもつ対角行列である。したがって各対角成分は \( \prod_{i=1}^n (\lambda_j-\lambda_i) \) となる。ここで \( j=i \) の項が必ず含まれるため、この積はすべて 0 になる。よって \( p_{\Lambda}(\Lambda) \) は零行列である。

p_{\Lambda}(\Lambda)
=
\mathrm{diag}\!\left(
\prod_{i=1}^n (\lambda_1-\lambda_i),
\ldots,
\prod_{i=1}^n (\lambda_n-\lambda_i)
\right)
= O

(b) \( A \in M_n \) が対角化可能であると仮定する。このとき、ある正則行列 \( S \) と対角行列 \( \Lambda = \mathrm{diag}(\lambda_1,\ldots,\lambda_n) \) が存在して \( A = S \Lambda S^{-1} \) と書ける。特性多項式は固有値のみによって決まるため、\( A \) と \( \Lambda \) は同じ固有値をもち、 \( p_A(t) = p_{\Lambda}(t) \) が成り立つ。

また、多項式 \( p_{\Lambda}(t) \) に対して行列を代入すると、積と和の線形性より \( p_{\Lambda}(A) = p_{\Lambda}(S\Lambda S^{-1}) = S\,p_{\Lambda}(\Lambda)\,S^{-1} \) となる。

p_{\Lambda}(A)
=
S\,p_{\Lambda}(\Lambda)\,S^{-1}

(a) より \( p_{\Lambda}(\Lambda)=O \) であるから、 \( p_{\Lambda}(A) = S O S^{-1} = O \) となる。さらに \( p_A(t)=p_{\Lambda}(t) \) であるため、 \( p_A(A) \) も零行列であると結論できる。


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