1.3.P5
1.3.問題5
同時に対角化できないが、可換である2つの行列の例を挙げよ。
これは (1.3.12) に反するだろうか。その理由も述べよ。
ヒント
可換であっても、どちらか一方が対角化可能でない場合には同時対角化は一般にできない。
定理では「両方が対角化可能である」という仮定が重要である点に注意する。
解答例
次の \( 2 \times 2 \) 行列を考える。
A=\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix},\quad
B=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}
このとき \( B \) は単位行列であるから、任意の行列と可換であり、特に \( AB=BA \) が成り立つ。
一方、\( A \) は固有値 \( 1 \) のみを持ち、その幾何重複度は \( 1 \) であるため対角化可能ではない。したがって、\( A \) と \( B \) は可換であるが、同時対角化はできない。
この例は定理(1.3.12)に反しない。その理由は、定理では \( A \) と \( B \) の両方が対角化可能であることを仮定しているが、上の例では \( A \) が対角化可能ではないためである。したがって、仮定が満たされておらず、定理の結論が成り立たなくても矛盾は生じない。
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