[行列解析1.3.P41]

1.3.問題41

1.3.P41

\(A \in M_n\) が異なる固有値を持たない場合、Aに相似な任意の行列も異なる固有値を持たない。しかし、Aに対角的に等しい行列の中には異なる固有値を持つものがあるかもしれない。

(a) \(D_1, D_2 \in M_n\) が対角かつ非特異であり、\(D_1AD_2\) が異なる固有値を持つ場合、なぜ非特異な \(D \in M_n\) が存在して \(DA\) が異なる固有値を持つのか説明せよ。

(b) \(A \in M_n\) が厳密三角行列で \(n \ge 2\) の場合、Aに対角的に等しい任意の行列は異なる固有値を持たない理由を説明せよ。

(c) \(n = 2\) とし、\(A = \begin{pmatrix} a & c \\ b & d \end{pmatrix}\) とする。Aに対角的に等しい行列が異なる固有値を持たないと仮定する。すると

A_z = \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & z \end{pmatrix} A = \begin{pmatrix} a & zc \\ b & zd \end{pmatrix}

は任意の非ゼロ \(z \in \mathbb{C}\) に対して重根を持つ。多項式 \(p_{A_z}(t)\) の判別式は次の通りである。

\Delta = (a + dz)^2 - 4(ad - bc)z = d^2 z^2 + (2ad - 4(ad - bc))z + a^2

この判別式が任意の非ゼロ \(z \in \mathbb{C}\) でゼロになる理由を説明せよ。これにより、\(d = 0\)、\(a = 0\)、および \(bc = 0\) が導かれ、Aは厳密三角行列であることがわかる。

(d) \(n = 2\) の場合、Aが異なる固有値を持つ行列に対角的に等しくない条件は、Aが特異であり、かつAのサイズ \(n-1\) の主小行列がすべてゼロであることと同値であることを説明せよ。

(e) (d) の主張は、すべての \(n \ge 2\) に対して正しいことが知られている。

注記と参考文献:

(1.3.P41(e)) の主張の証明は M. D. Choi らによる "Every invertible matrix is diagonally equivalent to a matrix with distinct eigenvalues" (Linear Algebra Appl. 436 (2012) 3773–3776) を参照。


参考:Matrix Analysis:Second Edition ISBN 0-521-30587-X.(当サイトは公式と無関係です)

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