1.3.P18
1.3.問題18
\( A, B \in M_n \) が共反転行列(coninvolutory)、すなわち \( A \, \overline{A} = B \, \overline{B} = I \) であるとする。
このとき、\( A \) と \( B \) が複素数体 \( \mathbb{C} \) 上で相似であることと、実数体 \( \mathbb{R} \) 上で相似であることが同値であることを示せ。
ヒント
共反転行列とは \( A\overline{A}=I \) を満たす複素行列である。
この条件から、行列 \( A \) は複素共役に関して特別な構造をもつことが分かる。
まず、複素数体 \( \mathbb{C} \) 上での相似変換を仮定し、その変換行列を実部と虚部に分けて考えると、実数体 \( \mathbb{R} \) 上での相似変換に書き直せることを示すのが基本方針である。
逆向きは、体の包含関係 \( \mathbb{R}\subset\mathbb{C} \) から直ちに従う。
解答例
まず、実数体 \( \mathbb{R} \) 上で相似であれば、複素数体 \( \mathbb{C} \) 上でも相似であることは自明である。なぜなら、実行列による相似変換はそのまま複素行列による相似変換とみなせるからである。したがって、以下では逆向きを示す。
\( A \) と \( B \) が複素数体 \( \mathbb{C} \) 上で相似であると仮定する。このとき、ある可逆な複素行列 \( P \in M_n(\mathbb{C}) \) が存在して \( A = PBP^{-1} \) が成り立つ。
ここで、共反転性 \( A\overline{A}=I \) と \( B\overline{B}=I \) を用いる。上式の両辺に複素共役を取り、適切に整理すると、 \( \overline{A} = \overline{P}\,\overline{B}\,\overline{P}^{-1} \) が得られる。これを用いて \( A\overline{A} = P B P^{-1} \overline{P}\,\overline{B}\,\overline{P}^{-1} = I \) となる。
一方で \( B\overline{B}=I \) であるから、上式より \( P^{-1}\overline{P} \) は \( B \) と可換することが分かる。ここで、\( P \) を実部と虚部に分けて \( P = X + iY \) と書く。ただし \( X, Y \in M_n(\mathbb{R}) \) である。
このとき、\( \mathbb{R}^{2n} \) 上の線形変換として、複素行列 \( A \) は対応する実行列
\Phi(A)=
\begin{pmatrix}
\Re A & -\Im A \\
\Im A & \Re A
\end{pmatrix}
で表される。
同様に \( B \) に対しても対応する実行列 \( \Phi(B) \) を定めることができる。
複素相似変換 \( A=PBP^{-1} \) は、この対応のもとで \( \Phi(A)=\Phi(P)\,\Phi(B)\,\Phi(P)^{-1} \) と書き直される。ここで \( \Phi(P) \) は実行列であり、可逆である。
したがって、\( A \) と \( B \) は実数体 \( \mathbb{R} \) 上でも相似であることが分かる。以上より、共反転行列 \( A, B \) に対しては、複素数体 \( \mathbb{C} \) 上での相似と実数体 \( \mathbb{R} \) 上での相似は同値である。
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