[行列解析1.3.P11]

1.3.問題11

1.3.P11

次の (1.3.19) の別証明について詳細を示せ。

(a) \( A, B \in M_n \) が可換で、\( x \neq 0 \)、かつ \( Ax = \lambda x \) とする。

ベクトル列

x, \; Bx, \; B^{2}x, \; B^{3}x, \; \ldots

を考える。

\( k \) を、\( B^{k}x \) がその先行項の線形結合で表される最小の正の整数とする。

このとき、

S = \mathrm{span}\{x, \; Bx, \; B^{2}x, \; \ldots, \; B^{k-1}x \}

は \( B \)-不変部分空間であり、したがって \( B \) の固有ベクトルを含む。

また、

AB^{j}x = B^{j}Ax = B^{j}(\lambda x) = \lambda B^{j}x

が成り立つので、\( S \) の任意の非零ベクトルは \( A \) の固有ベクトルである。

よって \( A \) と \( B \) は共通の固有ベクトルをもつ。

(b) \( F = \{ A_1, A_2, \ldots, A_m \} \subset M_n \) が有限個の可換な行列族であるとする。

このとき、帰納法により共通の固有ベクトルをもつことを示せ。

すなわち、\( y \neq 0 \) が \( A_1, A_2, \ldots, A_{m-1} \) の共通固有ベクトルならば、次のベクトル列

y, \; A_m y, \; A_m^{2} y, \; A_m^{3} y, \; \ldots

を考える。

(c) \( \mathcal{F} \subset M_n \) が無限個の可換な行列族である場合、\( \mathcal{F} \) に含まれる \( n^2 \) を超える個数の行列は一次独立ではありえない。

そこで、\( \mathcal{F} \) から一次独立な最大集合を取り、その有限集合に対する共通固有ベクトルは、\( \mathcal{F} \) 全体に対しても共通固有ベクトルとなる理由を説明せよ。


注:当サイトはCAMBBRIDGE公式サイトとは無関係です「Matrix Analysis:Second Edition Roger A. Horn University of Utah Charles R. Johnson」

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