[行列解析1.3.P10]異なる固有値に属する固有ベクトルの一次独立性

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.3.P10

1.3.問題10

\( A \in M_n \) が与えられ、\(\lambda_1, \ldots, \lambda_k\) が \( A \) の互いに異なる固有値であるとする。

各 \( i = 1, 2, \ldots, k \) に対して、\(\lambda_i\) に対応する \( A \) の固有ベクトルで一次独立なもののリストを

x^{(i)}_1, \; x^{(i)}_2, \; \ldots, \; x^{(i)}_{n_i}

とする。

このとき、すべての固有ベクトルを並べた

x^{(1)}_1, \; x^{(1)}_2, \; \ldots, \; x^{(1)}_{n_1}, \; \ldots, \;
x^{(k)}_1, \; x^{(k)}_2, \; \ldots, \; x^{(k)}_{n_k}

が一次独立であることを示せ。

ヒント

異なる固有値に対応する固有ベクトル同士は互いに強く独立な性質をもつ。線形結合が零ベクトルになると仮定し、対応する固有値を用いて整理すると、各固有空間ごとに係数が消えることを示せる。

解答例

与えられた固有ベクトル全体に対して、次の線形結合が成り立つと仮定する。

\sum_{i=1}^k \sum_{j=1}^{n_i} c^{(i)}_j x^{(i)}_j = 0

ここで \( c^{(i)}_j \) は複素数である。両辺に行列 \( A \) を作用させると、

\sum_{i=1}^k \sum_{j=1}^{n_i} c^{(i)}_j A x^{(i)}_j
=
\sum_{i=1}^k \sum_{j=1}^{n_i} c^{(i)}_j \lambda_i x^{(i)}_j
=
0

最初の式と引き算すると、

\sum_{i=1}^k \sum_{j=1}^{n_i} c^{(i)}_j (\lambda_i - \lambda_1) x^{(i)}_j = 0

ここで \( \lambda_1 \) は他の固有値と異なるので、\( \lambda_i - \lambda_1 \neq 0 \) が \( i \geq 2 \) に対して成り立つ。よって、

\sum_{j=1}^{n_1} c^{(1)}_j x^{(1)}_j
+
\sum_{i=2}^k \sum_{j=1}^{n_i} c^{(i)}_j (\lambda_i - \lambda_1) x^{(i)}_j
=
0

ここで左辺は、固有値 \( \lambda_1 \) に対応する固有空間と、それ以外の固有空間の直和分解に属する。異なる固有値に対応する固有空間の和は直和であるから、それぞれの部分は独立に零でなければならない。

特に、 \( \sum_{j=1}^{n_1} c^{(1)}_j x^{(1)}_j = 0 \) が成り立つが、\( x^{(1)}_1, \ldots, x^{(1)}_{n_1} \) は一次独立であるから、 \( c^{(1)}_1 = \cdots = c^{(1)}_{n_1} = 0 \) である。

同様の議論を \( \lambda_2, \ldots, \lambda_k \) について繰り返すことで、すべての係数 \( c^{(i)}_j \) が 0 であることが分かる。

以上より、異なる固有値に対応するすべての固有ベクトルを並べた集合は一次独立である。


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