[行列解析1.3.P1]可換な対角化可能行列の和と積の固有値

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.3.P1

1.3.問題1

\( A, B \in M_n \) とする。\( A \) と \( B \) が対角化可能であり、かつ可換であると仮定する。

\( A \) の固有値を \( \lambda_1, \ldots, \lambda_n \)、\( B \) の固有値を \( \mu_1, \ldots, \mu_n \) とする。

(a) \( A + B \) の固有値が、ある順列 \( i_1, \ldots, i_n \) に対して \( \lambda_1 + \mu_{i_1}, \lambda_2 + \mu_{i_2}, \ldots, \lambda_n + \mu_{i_n} \) となることを示せ。

(b) \( B \) が冪零である場合、なぜ \( A \) と \( A + B \) が同じ固有値を持つのか説明せよ。

(c) \( AB \) の固有値は何か。

ヒント

可換で対角化可能な行列は同時に対角化できることを用いる。

その結果、問題は対角行列の場合に帰着され、固有値の振る舞いを直接計算できる。

解答例

\( A,B\in M_n \) はともに対角化可能で、かつ可換であるから、同時に対角化できる。

したがって、ある正則行列 \( S \) が存在して \( S^{-1}AS=\mathrm{diag}(\lambda_1,\ldots,\lambda_n) \), \( S^{-1}BS=\mathrm{diag}(\mu_{i_1},\ldots,\mu_{i_n}) \) と書ける。

ただし \( i_1,\ldots,i_n \) は \( \{1,\ldots,n\} \) の順列である。

(a) このとき \( S^{-1}(A+B)S=S^{-1}AS+S^{-1}BS \) より、

S^{-1}(A+B)S=\mathrm{diag}(\lambda_1+\mu_{i_1},\ldots,\lambda_n+\mu_{i_n})

となる。よって \( A+B \) の固有値は \( \lambda_1+\mu_{i_1},\lambda_2+\mu_{i_2},\ldots,\lambda_n+\mu_{i_n} \) である。

(b) \( B \) が冪零であると仮定すると、そのすべての固有値は \( 0 \) である。したがって上記の結果より、\( A+B \) の固有値は \( \lambda_1+0,\ldots,\lambda_n+0 \) となり、これは \( A \) の固有値と一致する。

(c) 同様に、 \( S^{-1}(AB)S=(S^{-1}AS)(S^{-1}BS) \) より、

S^{-1}(AB)S=\mathrm{diag}(\lambda_1\mu_{i_1},\ldots,\lambda_n\mu_{i_n})

となる。したがって \( AB \) の固有値は \( \lambda_1\mu_{i_1},\lambda_2\mu_{i_2},\ldots,\lambda_n\mu_{i_n} \) である。


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