[行列解析1.3.9]

定理 1.3.9.

もし \( A \in M_n \) が \( n \) 個の異なる固有値を持つならば、\( A \) は対角化可能である。

証明.

各 \( i = 1, \dots, n \) に対して、固有値 \(\lambda_i\) に対応する固有ベクトルを \( x^{(i)} \) とする。すべての固有値が異なるため、補題 1.3.8 より、ベクトル \( x^{(1)}, \dots, x^{(n)} \) は一次独立である。したがって、定理 1.3.7 により \( A \) は対角化可能である。 ■

固有値がすべて異なることは対角化可能であるための十分条件であるが、もちろん必要条件ではない。

練習問題.

固有値が異ならないにもかかわらず対角化可能な行列の例を挙げよ。

練習問題.

\( A, P \in M_n \) とし、\( P \) が置換行列であると仮定する。つまり、\( P \) の各成分は 0 または 1 であり、次が成り立つ:

 P^T = P^{-1} 

(式 (0.9.5) を参照)。置換類似変換 \( PAP^{-1} \) が \( A \) の対角成分の順序を並べ替えることを示せ。与えられた任意の対角行列 \( D \in M_n \) に対して、置換類似変換 \( PDP^{-1} \) により、その対角成分を任意の順序に並べ替えられることを説明せよ。特に、同じ値の対角成分が連続して現れるように \( P \) を選べる理由を説明せよ。

一般に、\( A, B \in M_n \) が可換であるとは限らないが、もし \( A \) と \( B \) がともに対角行列ならば、必ず可換である。この事実はある程度一般化できる。次の補題はこの点に関して有用である。


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