[行列解析1.3.27]

定理 1.3.27.

\( A \in M_n \) が対角化可能であり、その異なる固有値を \(\mu_1, \dots, \mu_d\)、それぞれの重複度を \(n_1, \dots, n_d\) とする。

\( S, T \in M_n \) を正則行列とし、\( A = S \Lambda S^{-1} \) とする。

ただし \(\Lambda\) は (1.3.13) で与えられる形の対角行列とする。

このとき次が成り立つ。

(a) \( A = T \Lambda T^{-1} \) であることと、\( T = S ( R_1 \oplus \cdots \oplus R_d ) \) であり、各 \( R_i \in M_{n_i} \) が正則であることは同値である。

(b) \( S = [\, S_1 \ \cdots \ S_d \,] \)、\( T = [\, T_1 \ \cdots \ T_d \,] \) が \(\Lambda\) に適合する形に分割されているとき、\( A = S \Lambda S^{-1} = T \Lambda T^{-1} \) であることと、各 \( i = 1, \dots, d \) に対して \( S_i \) の列空間が \( T_i \) の列空間と一致することは同値である。

(c) \( A \) が \( n \) 個の異なる固有値を持ち、\( S = [\, s_1 \ \cdots \ s_n \,] \)、\( T = [\, t_1 \ \cdots \ t_n \,] \) が列ごとに分割されているとき、\( A = S \Lambda S^{-1} = T \Lambda T^{-1} \) であることと、正則対角行列 \( R = \mathrm{diag}(r_1, \dots, r_n) \) が存在して \( T = S R \) となることは同値である。

このことは、各 \( i = 1, \dots, n \) に対して、列ベクトル \( s_i \) が対応する列ベクトル \( t_i \) の非零スカラー倍であることと同値である。

証明.

\( S \Lambda S^{-1} = T \Lambda T^{-1} \) が成り立つことと、\((S^{-1} T) \Lambda = \Lambda (S^{-1} T)\) が成り立つことは同値である。

これはさらに、\(S^{-1} T\) が (0.7.7) により \(\Lambda\) に適合するブロック対角行列、すなわち \( S^{-1} T = R_1 \oplus \cdots \oplus R_d \) であり、各 \( R_i \in M_{n_i} \) が正則であることと同値である。

(b) については、もし \( 1 \leq k \leq n \) ならば、\( X \in M_{n,k} \) の列空間が \( Y \in M_{n,k} \) の列空間に含まれることと、ある \( C \in M_k \) が存在して \( X = Y C \) となることは同値である。

さらに \(\mathrm{rank}\, X = \mathrm{rank}\, Y = k\) であれば、\( C \) は正則でなければならない。

(c) の主張は (a) と (b) の特別な場合である。

実行列が複素行列によって相似であるとき、それらは実行列によっても相似であるのか?可換な実行列に対して (1.3.21) の実数版は存在するのか?次の補題は、このような問いに答える鍵となる。


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