[行列解析1.2.P6]階数条件から固有値と重複度を判定する問題

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.2.P6

1.2.P6

もし \( A \in M_n \) で、\(\lambda \in \sigma(A)\) が重複度 1 を持つならば、\(\mathrm{rank}(A - \lambda I) = n - 1\) であることが分かっている。

逆の場合を考えなさい:もし \(\mathrm{rank}(A - \lambda I) = n - 1\) ならば、\(\lambda\) は \(A\) の固有値でなければならないか?

また、その場合、\(\lambda\) は必ず重複度 1 を持たなければならないか?

ヒント

行列 \( A - \lambda I \) の階数が \( n - 1 \) であるということは、その核の次元が \( 1 \) であることを意味する。

核が非自明であるかどうかは、\( \lambda \) が固有値であるかどうかと密接に関係している。

また、固有値の重複度には代数的重複度と幾何的重複度があり、それらの違いに注意する必要がある。

解答例

まず、\( \mathrm{rank}(A - \lambda I) = n - 1 \) と仮定する。このとき、次元定理より

\dim \ker(A - \lambda I) = n - \mathrm{rank}(A - \lambda I) = 1

が成り立つ。したがって、\( \ker(A - \lambda I) \) は自明でなく、ある非零ベクトル \( x \) が存在して \( (A - \lambda I)x = 0 \) を満たす。

これは \( A x = \lambda x \) を意味するので、\( \lambda \) は確かに \( A \) の固有値である。よって、\( \mathrm{rank}(A - \lambda I) = n - 1 \) ならば、\( \lambda \) は必ず \( A \) の固有値である。

次に、\( \lambda \) の重複度について考える。上で示した条件から分かるのは、固有空間の次元、すなわち幾何的重複度が \( 1 \) であるという事実である。しかし、代数的重複度が必ず \( 1 \) であるとは限らない。

実際、\( \lambda \) が代数的重複度 \( 2 \) 以上を持つが、固有空間の次元が \( 1 \) であるような行列は存在する。

例えば、\( n = 2 \) の場合、

A = \begin{pmatrix} \lambda & 1 \\ 0 & \lambda \end{pmatrix}

とすると、\( \mathrm{rank}(A - \lambda I) = 1 = n - 1 \) であるが、\( \lambda \) の代数的重複度は \( 2 \) である。

以上より、\( \mathrm{rank}(A - \lambda I) = n - 1 \) ならば \( \lambda \) は必ず固有値であるが、その重複度が必ず \( 1 \) であるとは限らない。


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