[行列解析1.2.P23]特異行列と正則な主要小行列の存在

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.2.P23

1.2.問題23

もし \(A \in M_n\) が特異(singular)であり、かつ異なる固有値をもつならば、サイズ \(n - 1\) の正則な主要小行列(principal minor)をもつことを示せ。

注意:主要小行列の和は、特性多項式の係数の議論において現れた。同様に、主要小行列の積も自然な形で現れる(式 (7.8.11) を参照)。

ヒント

特性多項式の係数は、固有値の基本対称式で表され、同時に主要小行列の和としても表現される。

特に次数 \( n-1 \) の係数に注目すると、サイズ \( n-1 \) の主要小行列との関係が明確になる。

解答例

\( A\in M_n \) の固有値を \( \lambda_1,\lambda_2,\dots,\lambda_n \) とする。仮定より \( A \) は特異であるから、ある固有値が \( 0 \) であり、一般性を失わず \( \lambda_1=0 \) とする。また、固有値はすべて異なるので \( \lambda_2,\dots,\lambda_n \neq 0 \) である。

\( A \) の特性多項式を \( p_A(t)=\det(tI-A) \) とすると、

p_A(t)=t^n-E_1(A)t^{n-1}+\cdots+(-1)^nE_n(A)

と書ける。ここで \( E_{n-1}(A)=\sum_{i=1}^n \prod_{j\neq i}\lambda_j \) である。\( \lambda_1=0 \) を用いると、

E_{n-1}(A)=\prod_{j=2}^n \lambda_j

となる。固有値は互いに異なり、かつ \( \lambda_2,\dots,\lambda_n \neq 0 \) であるから、 \( E_{n-1}(A)\neq 0 \) である。

一方、特性多項式の係数の一般論より、\( E_{n-1}(A) \) はサイズ \( n-1 \) の主要小行列の行列式の総和に等しい。したがって、その総和が 0 でない以上、少なくとも一つは 0 でない主要小行列が存在する。

よって、\( A \) はサイズ \( n-1 \) の正則な主要小行列をもつことが示された。


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