[行列解析1.2.P17]ブロック行列から導く積行列の特性多項式

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.2.P17

1.2.問題17

\( A, B \in M_n \) とし、次の行列 \( C \) を考える:

C =
\begin{bmatrix}
0_n & B \\
A   & 0_n
\end{bmatrix}

式 (0.8.5.13–14) を用いて、次を示せ:

p_C(t) = p_{AB}(t^2) = p_{BA}(t^2)

また、この事実が \( AB \) と \( BA \) が同じ固有値をもつことを意味する理由を丁寧に説明せよ。さらに、このことから

\mathrm{tr}(AB) = \mathrm{tr}(BA), \quad \det(AB) = \det(BA)

が成り立つことを説明せよ。また、

\det(I + AB) = \det(I + BA)


が成り立つ理由も説明せよ。

ヒント

(0.8.5.13)
\det A
= \det(A_{11}A_{22} - A_{21}A_{12})

(0.8.5.14)
\det A
= \det(A_{11}A_{22} - A_{12}A_{21})

行列 \( C \) は 2×2 のブロック行列であり、対角成分が零行列である。式 (0.8.5.13)、(0.8.5.14) を用いると、\( tI_{2n}-C \) の行列式をブロック積の形で計算できる。得られた特性多項式から、固有値、トレース、行列式の性質を読み取る。

解答例

行列 \( C=\begin{bmatrix}0_n & B \\ A & 0_n\end{bmatrix} \) に対し、特性多項式は \( p_C(t)=\det(tI_{2n}-C) \) で定義される。まず

tI_{2n}-C=
\begin{bmatrix}
tI_n & -B \\
-A & tI_n
\end{bmatrix}

となる。ここで式 (0.8.5.13) または (0.8.5.14) を用いると、

\det(tI_{2n}-C)
= \det(tI_n\cdot tI_n - (-A)(-B))
= \det(t^2 I_n - AB)

が得られる。したがって \( p_C(t)=p_{AB}(t^2) \) である。同様にブロック積の順序を入れ替えることで \( p_C(t)=p_{BA}(t^2) \) も成り立つ。

特性多項式が一致することは、\( AB \) と \( BA \) が重複度を含めて同じ固有値をもつことを意味する。特性多項式の一次係数はトレース、定数項は行列式であるから、 \( \mathrm{tr}(AB)=\mathrm{tr}(BA) \), \( \det(AB)=\det(BA) \) が従う。

さらに、 \( \det(I+AB)=p_{AB}(-1) \), \( \det(I+BA)=p_{BA}(-1) \) であり、両者は同一の多項式から得られる値であるため、 \( \det(I+AB)=\det(I+BA) \) が成り立つ。



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