[行列解析1.1.P4]ブロック対角行列のスペクトル

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.1.P4

1.1.問題4

次のブロック対角行列を考える。
\( A = \begin{pmatrix} A_{11} & 0 \\ 0 & A_{22} \end{pmatrix} \)、ただし \( A_{ii} \in M_{n_i} \)
このとき、スペクトルは \( \sigma(A) = \sigma(A_{11}) \cup \sigma(A_{22}) \) となることを示せ。

次の三点を示す必要がある。
(a) \( \lambda \) が \( A \) の固有値であれば、それは \( A_{11} \) または \( A_{22} \) の固有値であること。
(b) \( \lambda \) が \( A_{11} \) の固有値であれば、それは \( A \) の固有値であること。
(c) \( \lambda \) が \( A_{22} \) の固有値であれば、それは \( A \) の固有値であること。

ヒント

ブロック対角行列の固有値問題は、対応する固有ベクトルをブロックごとに分けて考えるとよい。

固有方程式 \(Ax=\lambda x\) を成分ごとに書き下すことが基本である。

解答例

行列 \( A = \begin{pmatrix} A_{11} & 0 \\ 0 & A_{22} \end{pmatrix} \) を考える。ただし \(A_{11} \in M_{n_1}\)、\(A_{22} \in M_{n_2}\) とする。

(a) \( \lambda \in \sigma(A) \) とする。このとき、ある零でないベクトル \( x = \begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \end{pmatrix} \) が存在して \( Ax = \lambda x \) を満たす。

この式を成分ごとに書くと、

A_{11}x_1 = \lambda x_1, \quad A_{22}x_2 = \lambda x_2

が成り立つ。\(x \neq 0\) であるから、\(x_1 \neq 0\) または \(x_2 \neq 0\) のいずれかが成り立つ。前者ならば \( \lambda \in \sigma(A_{11}) \)、後者ならば \( \lambda \in \sigma(A_{22}) \) である。

(b) \( \lambda \in \sigma(A_{11}) \) とする。このとき、ある零でない \(x_1 \in \mathbb{C}^{n_1}\) が存在して \( A_{11}x_1 = \lambda x_1 \) を満たす。

\( x = \begin{pmatrix} x_1 \\ 0 \end{pmatrix} \) とおくと、 \( Ax = \lambda x \) が成り立つ。したがって \( \lambda \in \sigma(A) \) である。

(c) \( \lambda \in \sigma(A_{22}) \) の場合も同様である。ある零でない \(x_2 \in \mathbb{C}^{n_2}\) が存在して \( A_{22}x_2 = \lambda x_2 \) を満たす。

\( x = \begin{pmatrix} 0 \\ x_2 \end{pmatrix} \) とおけば、 \( Ax = \lambda x \) となり、\( \lambda \in \sigma(A) \) が従う。

以上より、 \( \sigma(A) = \sigma(A_{11}) \cup \sigma(A_{22}) \) が成り立つ。


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