[行列解析1.0.P2]対象行列の最大の実固有値

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.0.P2

対象行列の最大の実固有値

\( A \in M_n(\mathbb{R}) \) が対称行列であるとする。

このとき、

 \max \{ x^{\top} A x :  x \in \mathbb{R}^n, x^{\top} x = 1 \} 

が、\( A \) の最大の実固有値であることを示しなさい。

解答例

命題:
\( A \in M_n(\mathbb{R}) \) が実対称行列であるとする。このとき、

\max \{ x^{\top} A x : x \in \mathbb{R}^n,\, x^{\top} x = 1 \}

が \(A\) の最大固有値に等しいことを示す。

証明

(1) 対称行列のスペクトル分解
\(A\) は実対称行列であるので、固有値はすべて実数であり、固有ベクトルは互いに直交し、正規直交基底をなす。この固有値を

\lambda_1 \ge \lambda_2 \ge \cdots \ge \lambda_n

とし、対応する単位固有ベクトルを \( v_1, \ldots, v_n \) とする。任意の \( x \in \mathbb{R}^n \)(ただし \(x^\top x = 1\))はこれらを用いて

x = \sum_{i=1}^n c_i v_i, \qquad \sum_{i=1}^n c_i^2 = 1

と展開できる。

(2) レイリー商(Rayleigh quotient)の評価
レイリー商 \( x^\top A x \) を計算すると次のようになる。

x^\top A x = \sum_{i=1}^n c_i^2 \lambda_i

ここから

x^\top A x \le \lambda_1 \sum_{i=1}^n c_i^2 = \lambda_1

が従う。したがって \( x^\top A x \) の最大値は高々 \( \lambda_1 \) である。

(3) 最大値の達成
固有ベクトル \( v_1 \) に対して

v_1^\top A v_1 = \lambda_1

が成り立つので、先の上限は実際に達成される。

結論:
よって

\max \{ x^{\top} A x : x^{\top} x = 1 \} = \lambda_1

であり、これは \(A\) の最大固有値に等しい。

証明終わり。

\(A\)が対称行列のとき、レイリー商は最大値・最小値を持ち、さらにはそれらは最大固有値・最小固有値に一致することが知られています。


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